書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

社会性を身につけてはいけない人だった

私は今、何かやることを思いついても、その瞬間にするべきことを優先して順序よく物事に当たれる、とても良い社会性を身につけてます。普通のことではありますが、お腹を空かせて家に戻り、食事の準備をしながらこの日記のネタを思いついたとしても、ちゃんと食事を優先することができています。

大学生だった頃は、そういうことをしませんでした。出来る出来ないの次元ではなく、そういう発想がなかったのかもしれません。初めての一人暮らし。それまでの小学校、中学校、そして高校と、それなりに周りに合わせてテンポを刻む時間を過ごしていたのに、一人暮らしを始めた途端にそうした条件がほぼなくなりました。

日常生活はもとより、大学の講義ですら、周りに合わせる必要はなく、自分の決断によってのみ、少し先の未来を決めていく毎日。一限目からしっかり出席するか、二限目からにするか、お昼で切り上げて帰ってしまうか。大学の門まで徒歩5分という環境も大きく影響しています。高校の通学時間が片道1時間半でしたから、世界が変わったというぐらいの変化です。

結局、寝坊でもしない限りは受講した講義は全部出たわけですが(どの講義もそれなりに楽しんだ)、一人暮らしの部分はとても自分中心でした。

朝は起きるのですけれど、寝る時間は決まっていません。アルバイトが終わるのが0時過ぎというのも珍しくはないし、それから帰ってすぐ寝るわけでもなく。

何より、あの頃は一番自由にプログラムに取り組んでいた時代。師匠から業務に必要なソフトウェアの開発を頼まれたこともあり、思いついたことがあればご飯よりもお風呂よりも優先して時間を割いていました。

ご飯を食べなくてもすぐには死なないじゃないですか。だからその時間を犠牲にしてしまったのです。あるいは朝炊いた白米をお茶碗によそい、白米だけ食べてよしにするとか。お茶碗にちゃんとよそっただけ偉い。

本山からの修行から戻ってからも、一部ではそうした自己中心的な生活を残していました。いつまでも寝ないとか、ベッドに入っても気になったら起き出してパソコンのスイッチを入れるとか。そのまま開発し続けてしまうとか。おかげで、何やら充実した人生を送っていた実感があります。

それに比べて、今はどうでしょう。

とてもちゃんとした生活をしています。睡眠時間こそ短いものの、生活リズムが規則的に刻まれています。何かやりたいことがあっても食事をしっかりします。お風呂も自分の順番でちゃんと入ります。一度寝たのに、起き出してパソコンに向かうことはありません。

次の日のパフォーマンスを考えたら、特に法事など檀家さんと接する勤めが予定されているのであれば、自分の生活をしっかりとしておくことはとても大切です。一つも間違ってはいません。

でも、充実感は、思いついた時に即行動をしていたあの頃よりも、劣っている気がしてなりません。単純に歳をとっただけなのかもしれませんけれども。

かのホリエモンですら、睡眠時間は8時間しっかりと確保しているそうです。最高のパフォーマンスを発揮しようと思ったら、ちゃんと寝ることはとても大切です。でも、能力が人並み外れているから、8時間寝てもパフォーマンスを発揮する時間があるんじゃないかな、とも思うのです。凡人が活躍しようと思ったら、自分の生活や体など後回しにしなくては追いつかないのでは、と。

そうした無理を重ねていき、結果的に周囲から認められた人だけ、8時間眠ることが許されるんじゃないかとか、ね。

それを思うと少なくとも6時間は眠る生活リズムを矯正するお寺の修行というのはとても優しいですね。出世を望まれる訳でもないです。曹洞宗の理想系を僭越ながら申し上げれば、その修行生活を死ぬまで続けることが最も理想的です。死ぬまで毎日6時間睡眠です。すごいですよね。現実の修行生活ではそういうわけにもいかないですけれど。

今の時間の過ごし方に不満が多くある訳ではありませんが、「今思いついたこれ、今この瞬間に取りかかれれば!」「あの時全てを放り出して取りかかっていれば」そう思った回数はかなりの数に上ります。

その気持ちに正直に生きていたら、健康的に長生きすることは望めなさそうです。今の落ち着いた生活がある故の、無いものねだりの部分もあるでしょう。想いに素直に生きたところで、本当に今より成果が上がるかと言えば、やってみないことにはわからないです。でもだからこそ、やってみたくなるんですよね。

いくら思い悩んだところで、私が思うようには生きられません。それならば、出来る範囲で思うように生きられるように、思いついて即取り掛かれる時に、本当にすぐに取り掛かるように、いつでも気持ちをスタンバっておかなくては。

(でも、他のことが何も出来ない拘束された時間にこそ、いろんなアイデアが浮かんでくるなぜなのでしょうね)

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