書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

ご祈祷料について考える

正太寺の各種ご祈祷は、2千円以上、というお布施をお願いしています。大抵の場合、「それだけでいいの?」と驚かれます。交通安全のご祈祷で何度目かの方ですら、「そんな安かったっけ?」と聞き返されてしまいます。

安いのでしょうか。

もっといただいた方がいいのでしょうか。

2千円以上、と文面では表記しますが、口頭の場合は2千円です、とつい言ってしまいます。「以上」と言われても実際には困ってしまうでしょうから。

近隣の状況を調べてみたら、小國神社は5千円以上。なるほど。豊川稲荷は3千円以上(4千円以上の場合は精進料理付き)。可睡斎は5千円。法多山は3千円以上(納める祈祷料によって、授与品が変わるそうです)

なるほど。

湖西市内でも小國神社の交通安全ステッカーを貼った車をよく見かけます。この辺りの金額が、しっくりくる金額なのかもしれません。

ご祈祷料の設定というのはなかなか難しい問題です。何千円以上、というのは、お札の仕入れなど、実費がかかっているゆえに最低でもこの程度はいただきたい、という意味での表記なのですが、その金額が多くの方が納める金額となります。

とはいえ、普通に授与するレベルのもので、仕入れだけで何千円、ということはありません。正太寺でも、2千円いただければ赤字にはなりません。

そうした問題と別に、納める側の気持ちもあります。安いと思いながら納めると、不安につながります。納めた祈祷料によって加護の強さが変わるわけはないですが、安いと感じてしまうと、加護が弱いかも、という気持ちになったとしても不思議ではありません。

以上のように考えてみると、正太寺のご祈祷料は3千円か5千円ぐらいが適正なのかもしれません。近隣の有名どころの祈祷料と似通っていた方が、安心につながりやすそうです。

心の平穏をもたらすには、こういうところにまで気配りをしていく必要があるのだなぁ、などと考えた日となりました。

師匠に「昭和40年代はご祈祷料いくらだったの?」と確認したら、「2千円ぐらいだったと思うよ」という返事でした。婿養子兼弟子として正太寺に来たのが昭和40年代ですので、それ以前のことは確認のしようもありません。60年ぐらい、ご祈祷料に変わりはない、というわけです。

少なくともバブルの時代にかけて物価が上がり、その物価からあまり変わらずに今まで来ていますから、昭和40年代の2千円と今の2千円では、だいぶ違いがあるはずです。昭和30年代後半にもらった母の初任給が1万円とか言っていたような。そう考えると、当時のご祈祷料2千円はすごく高くない?とも思えますね。どういう基準だったのでしょうか・・・

正太寺にご祈祷を依頼される方はあまり多くなく、月に1件あるかないかですから、ご祈祷料を変更しても、布施収入へのインパクトはほとんどありません。ですので、純粋に、ご祈祷の受付からご祈祷料の受け取り、ご祈祷、そしてお札のお渡しまで、その一連の流れの中で、ずっと安心が得られるようにするにはどうしたら、という点だけを考えることができます。安いことが良いこととは必ずしも限らないようだ、ということも念頭に、ご祈祷料についてさらに深く考えてみようと思います。

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