書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

観音懺法

今日はおせんぼう(観音懺法)をお勤めしました。近隣6ヶ寺で回り番で会場をつとめます。当日には6人の僧侶が会場寺院に集まり、およそ1時間半の法要をお勤めするのです。


春秋のお彼岸のお中日に、前回会場になった時以降に亡くなられた方を中心にご供養します。6ヶ寺で年に2回ずつ行いますから、都合3年分の新しい仏様をご供養するわけです。
正太寺は必ず、秋のお彼岸に当番が回ってきます。


昨日、本堂の荘厳(飾り付け)を始め、おせんぼう用の準備をし、今日の当日を迎えました。秋晴れの中、該当する仏様のいるお檀家さんが集まり、厳かに法要が進んでいきます。


観音様を本堂内須弥壇上にお迎えし、声明(しょうみょう)をお唱えしながらなんども礼拝をし、その功徳を新しい仏様と、正太寺のお檀家さんの全てのご先祖様と他5ヶ寺のお檀家さんの全てのご先祖様をご供養し、最後に観音様をお見送りして、終わりとなります。


その様子をビデオに収めたかったのですが、今年も諸事情で叶わず。代わりにどこかに映像が公開されていないかとインターネットを調べたところ、ある有名な臨済宗のお寺で観音懺法が行われた模様の映像が見つかったのですが、あまりに規模が大きすぎて、今日のイメージとはかけ離れていたのでここでは掲載しません。「観音懺法 声明」を検索ワードに、調べてみてください。


調べるうちに、声明のことが気になって調べだしたら、今度は今年発生したチベット騒乱についての映像がいくつも引っかかってきました。Youtubeにたくさんあります。天台宗の僧侶の出した声明(せいめい)が、読みの違いで引っかかってきたのです。それらの映像を見ていると、曹洞宗の腰の引け方がどうにも情けなくなりました。


チベット騒乱についての曹洞宗の出した声明は、
チベット情勢についての声明

  中国チベットの多数の地域、中国本土のいくつかの都市にて、抗議活動やデモ行進が行われ、市民、僧侶に多数の死傷者や逮捕者を出しているとの報道に接しました。今後さらに世界各地に混乱が波及し、社会情勢にも影響を及ぼすのではないかと憂慮いたしております。ダライラマ法王14世は、チベット人同胞の皆様方に向けて「事態がいかに厳しくとも、非暴力を実行し、非暴力の道から外れないでください。」と呼びかけられておられます。人権・平和・環境を標榜する曹洞宗も、同じ仏教徒として、お互いの絆を深め、仏陀のお示しになった崇高な教義を基に、平和的対話による、一日も早い問題解決がなされる事を心より望んでおります。

  平成20(2008)年4月17日

曹洞宗        
宗務総長 渕 英徳」
曹洞宗・曹洞禅ネットより引用。総長の名前の徳の時は、実際には自体が違う。元URLはhttp://www.sotozen-net.or.jp/oshie/peace/20080417.htm


チベットへの度重なる抑圧のために今回の暴動が発生し、それを武力で制圧したのですから、非は明らかに中国政府にあると私は考えます。チベットは中国領土であり、国内問題であると言う意見があるようですが、国内問題であるならばなおさら、国民に対して武力で弾圧したと言うことですから、それこそ非難を受けてしかるべきでしょう。


また、制圧に際しての非人道的な行為の写真もインターネット上には溢れています。一瞬見ただけで、吐き気をもよおしそうになるほどの光景です。


そうしたことを考慮したならば、少なくとも、中国政府への非難は声明に含むべきであると、私は思います。中国は古来、仏教を庇護してたくさんの高僧を生み出した地だというのに、あまりに悲しいです。日本仏教は、中国仏教の影響を真っ直ぐに受けています。だからこそ、今の中国政府のやりようには、厳しく抗議をするべきと思うのですが。


お釈迦様がもし今いらしたら、必ず中国政府を叱りつけると信じています。もっとも、中国政府がお釈迦様の意見を伺おうとするとは思えませんけれども。