書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

弁事君、しっかりお勤めできました

無事に法戦式での出番を終えた息子。初挑戦の時から口酸っぱくイントネーションについて口を出し続けてきたため、完全に私好みの弁事を披露してくれました。よく頑張った。

首座さんだと、イントネーションにこだわるのはなかなか難しい。

古い日本語を使うので、意味の把握がまず大変。そこに自分なりの抑揚をつけて、意味が伝わりやすく努力をしていくわけですが、それが出来るのはおそらく僧堂での修行を終えてから首座をする者のみ。私なんかは大学生でしたから、ただ声を張り上げるしかできませんでした。

親に言われて仕方なく首座を勤める人間も少なからずいるわけです。その後、本格的に修行に臨む際に、気持ちを高めていってくれればいいという割り切りもあって、細かなところまでは望まない、という空気があります。場合によってはやる気を無くしてしまうという結果を招きかねず、そうすると晋山結制そのものができなくなってしまいます。

少子化が進み、僧侶のなり手も減ってきている昨今、首座を勤めるほどの覚悟を決めてくれただけでありがたい、という面もあります。本当に首座ができる人が少ない。完全に売り手市場なのです。

というわけで、まだ親のコントロールの効く弁事の方が、実は良い具合に仕上がる可能性が高い。声の大きさはまだまだ欲しいけれど、弁事としては十分だったし、親としては100点をあげたい出来でした。

そして、首座さん。大学が本当に忙しい中、またコロナ禍で移動に不自由し、習儀にも思うように参加できない中、自分なりに文章の意味を考えて抑揚にも工夫をしていることが窺えました。声の大きさはもっと大きいほうが私の好みですが、私以外にはそこを求める人はいなかったようで、違う教区の首座さんにそこまで求めるのはあまりよろしくないことと思えたので、好みの押し付けはせずにおきました。

でもほんと、事情を考慮すると上々の出来だったと思います。よく頑張りましたよ、ほんと。私ならあの状況だったら親子喧嘩の上に拒否していたと思います。出来そうもないんですもん。それを自分ならやれると判断し、実際にやり遂げたというのが、素晴らしい。

もっとも、彼にしてみたら、大学でやっていることの方がもっと難解でストレスフルなのでしょう。これで社会に出て揉まれたら、社会人としてだけでなく、僧侶とても頼れる僧侶になってくれそうです。またいつか一緒に法要に臨む日が来るかもしれないと思うと、楽しみです。

首座さんのこともちゃんと持ち上げたし。さて、あとは息子のビデオを見返して、親バカ気分に浸っていよう。今日ぐらいはそれが許されるはず。

最後になりましたが、堂頭和尚様、お疲れ様でした。結制修行後は長期に渡る準備期間の疲労蓄積から体調を崩される方も多くいらっしゃる聞き及んでおります。くれぐれもご自愛に努められ、余力を持って寺門興隆にお力を注いでくださいますよう、完全にお節介ではありますが申し上げます。この文がどうかお目に止まりますように。

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