書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

もっと、誰にでも優しくなろうと、誓う日

まだ一歳のお子さんのお葬式を執り行いました。元気だった子が、急に。ご両親の悲しみは計りしれません。私の次女ももうすぐ一歳。こんな子が急にいなくなってしまったら、私も冷静ではいられません。


かわいらしい棺に入ったその子は、葬儀の間もずっと、棺のふたをずらして顔が見えるようになっていました。一番近くにいるのは、たまたま師匠の用事のために導師を勤めることになった、私。閉じられたその瞼を、なんとかもう一度、開けてくれないかと、念じずにはいられませんでした。その目が開いたとき、ご両親始めご親族一同、どれほど喜んでくれることでしょう。


でも、そんなことは起こりませんでした。火葬場にて初めて棺のふたが閉められ、そのまま炉の中へと入っていきました。その時のご両親のお気持ち、私には想像も出来ません。


人の命がいかに無常であるかを、その子は身をもって示してくれました。そして、仏様になられたのです。ご両親にとっては自分の子どもでありましょうが、しかしもうすでに仏様であり、我々を見守ってくださる存在となったのです。そのことを喪主さん夫妻のそれぞれのお母様に、初七日法要の後の席でさらっとお話ししました。


今はまだ、ご両親にとってはこんな話を受け入れられる心情ではないことでしょう。でも、この話が良いタイミングで伝わり、気持ちを前向きに切り替えるきっかけになればと願っています。そして、一番のご供養は、仏道修行であるとお話ししたことがちゃんと理解され、仏教への信仰心をより厚くされることを。


そして私は。
帰宅してから次女を思いっきり抱きしめました。それでようやく、心が落ち着きました。まだまだ未熟者です。半人前です。
今のこの気持ちを忘れなければ、いつでも誰にでも、優しくなれるはず。肝に銘じて、精進します。