書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

住職披露

住職になると、近隣のお寺さんや、一般の家で言う本屋新屋にあたる、本寺末寺、親戚関係に当たる法類寺院へ、挨拶に回ります。それを住職披露と言います。


お寺の親戚関係というのは、血縁ではなく、法縁で結ばれています。つまり、師匠と弟子ですね。ご存知のようにお寺にはご開山様と言われる方がいらっしゃいます。そのお寺を最初に開いた人、つまりは第1世のご住職ですね。その方の弟子が別の場所にお寺を開くと、そのお寺は、師匠のお寺の末寺となります。別の弟子がまた別の場所にお寺を開くと、師匠のお寺の末寺となるのはもちろん、先ほどの弟子のお寺とは法類となります。兄弟ですね。もちろん師匠にも師匠がいるわけで、そうやって辿っていくと、全ての曹洞宗のお寺は、大本山永平寺にたどり着きます。


ちなみに、同じく大本山である總持寺は、永平寺ご開山道元禅師さまのお弟子の一人である義介禅師様のお弟子である、瑩山禅師様がご開山様です。そのために何となく永平寺が一際重要視されますが、瑩山様が曹洞宗の教えを広く広めた功績は並々ならぬもので、そうした意味でも永平寺と並び大本山となっているわけです。


というわけで。本日、正太寺のご本寺様の新しいご住職が住職披露にお越しになりました。まだ40歳、住職としてはお若い年齢です。しかしさすがご本寺様、作法に則ったご挨拶。勉強になりました。


私もいつかは師匠に認められて住職の責を負いたいですが、その時にはこうして挨拶に回ることになります。緊張しますよね。たいていは自分よりもずいぶん年上の先輩住職と相対するわけですから。師匠に認められて後を譲られたのに、他のご住職方に、まだまだ住職の器ではないと判断されたら、師匠の顔に泥を塗ることになります。それだけは避けたい。


今は副住職の勤めが精一杯ですが、住職の仕事も盗み見て、器を大きく広げたいです。