書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

どっさぶい中、慰霊法要を。

清凉院様での震災慰霊法要
気仙沼市の隣、本吉町にある曹洞宗寺院、清凉院様。東日本大震災発生直後から、避難場所として大きな役割を発揮されたお寺です。そこに曹洞宗に端を発する公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が支援事務所を設置しました。その設置の際の資金を静岡県第四宗務所曹洞宗婦人会とで援助したのが、濃い関わりの発端となりました。


地元青年会「照自会」も、その事務所を活動の拠点として、炊き出しや茶話会などを通してなるべく心に寄り添える支援活動を行ってきて、宗務所はその側面支援を続けてきました。


宗務所独自の活動としては、一昨年の8月、そして昨年の8月と、浜松の子どもたちを連れて、現地の子どもたちと交流するべくツアーを組んで、教化主事が先頭に立って遊んで怪我をするという素晴らしいハプニングを起こして賞賛を受けたりもしました。


その他にも、宗務所長が民生委員を務めていることもあり、本吉町の民生委員と浜松市中区の民生委員の交流会が開かれ、そこに青年会も加わったりと、派生的に企画された事業もありました。


宗務所職員の頭の中にも常に震災のことが渦巻いている2年間であったと思います。


そして今日、丸二年が経つに当たり、初期の直接的な支援から、次のステップに進む節目にもなると考え、三回忌の慰霊法要を勤めるべく、現地に赴くことにしたのでした。


なんと、私は初めての現地入りです。昨年の梅花流全国大会のツアーの中で、被災地を少しだけ訪れたことはありますが、被災した寺院で話を伺った程度でして。


今回も法要を勤めるだけではありますが、宗務所が力を入れて支援してきたその土地に、やっと来れたというのは感無量です。写真と話に聞くだけだった現場を、自分の目で見て体感できる。そこのいる人からしか聞けない話を聞く。そのどれもが、今まで伝え聞いてきたものよりも、もっともっと重く辛いことでしたが、今もなお厳しい状況が変わらず続いていると言うことを肌で理解することが出来ました。


体の傷は2年で癒えるかもしれない。でも、心の傷はまだまだ癒えない。そして、地震があったが故に、その後に命を落とす人、そして命を絶つ人がまだまだいる。心の傷は、深まるばかりです。


僧侶の出番はまだまだありますね。出来ることを、続けていきたいと思います。


今日は10時頃、予定よりも少し遅れて清凉院様似到着しました。大雪の影響で渋滞も発生しており、途中のサービスエリアも冬景色。普通の靴で来てしまったのを後悔しましたが、気仙沼近辺の海沿いは、雪はありませんでした。ただ、とても寒い。予報通りです。


清凉院様の書院をお借りして着替えをし、海岸にて被災物故者三回忌慰霊法要を勤めました。冷たい風が吹き付ける中、一緒に行った和尚さん達もとても寒そうでしたが、お経が始まると途端に、凛とした空気に支配されました。


清凉院様に戻り、昼食。地元のお店はこの日、ほとんどが休業日となっていましたので、唯一オープンが確認出来たコンビニでカップラーメンを買い込んできました。


そして、2時過ぎより、清凉院様本堂にて、清凉院様を導師に本尊上供を勤め、場所を境内の観音像の前へと移します。この観音像、篤信者の寄進によって、三回忌を記念して建てられたものだそうです。2時46分少し前から梵鐘を鳴らし、時間ちょうどに、同報無線を通じて流されたサイレンを聞きながら黙祷。


そして再び、三回忌慰霊法要をお勤めしました。至る所で慰霊祭が催される中ではありましたが、清凉院様のお檀家さん立ちも駆けつけてくださり、お焼香をしていただきました。


この時もかなり寒かったのですが、お檀家さんの前に立つと、寒さは吹き飛びますね。不思議なものです。


その後は、宿泊先であるコテージキクタさん。津波で流されてしまった土地に、トレーラーハウスを据え付けて、コテージとして運営されています。しっかりとした建物はその場所柄、建築許可が下りないそうで、苦肉の策のようです。(津波で流された場所を再び住宅地や商業地にするのは、リスクが大きいですからね)


このトレーラーハウス、すごいですよ。快適です。必要な物は全部揃っていて、そこそこにラグジュアリー。バスタオルや歯ブラシなどの用意はありませんが、それを除いても、かなりお得。1人4千円です。ただ、地震が起きたら即避難、というのはしっかり理解しておかねばなりませんが。


コテージキクタさんで少し休んだ後、清凉院様との懇親会を開きました。びっくりするぐらいのおいしいお料理をいただき、そしてそのお安さにさらにびっくりして、気持ちの良い時間を過ごさせていただきました。


明日は朝起きたら、ひたすら帰るだけの一日となります。12時間かかりますからね。もうちょっと、長居したくなる居心地の良さなんですけどねぇ。