時々話にでるんです。「十分生きたから、そろそろあの世に行きたいよ」
お経に回ったりしてるせいで、入出のお年寄りたちは私にとって子どもの頃から知ってる人たちばかりです。
そういう思い入れの深い人に、そんなことを言われると、一瞬面食らったようになってしまいます。
どんな返事を期待しているのか、考えてしまいます。
今までは、正直に自分の気持ちを話していました。「とにかく長生きして欲しい」
たくさんのお別れの現場を見てきました。だから、諸行無常ではあるけれど、死なないで欲しい。それが今の偽らざる気持ちです。
でももしかしたら、気さくに「あの世で待っててよ。そのうちそっちに行ってお経読んであげるから」
そんな返事を期待されていたのかもしれません。
人生最後の長い旅路への出発を、元気づけてあげるべき立場なのかもしれません。
でも私の心は今はまだ、そんな境地には到達していません。
死んで欲しくない
まだ当分はその気持ちを抱き続けて生きていくのでしょう。