書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

これから修行に行くという青年がテレビに

夜中にふとテレビをつけたら、彼氏が2週間後に修行に行くというカップルの話を放送してました。それも曹洞宗。途中から見たので詳細は分かりませんが、テロップによれば3年を予定しているんだそうです。22歳の旅立ち。永平寺かな、総持寺かな。


彼女は「待ってろ」とか言って欲しいらしいのですが、付き合いが短いためかなにも言ってもらえずにいると。そこに彼氏が、なんと婚姻届を取り出しました。自分のところはすでに署名済み。日付は、19年4月1日。3年後、修行を終えてすぐ、ですね。


見ていて泣いてしまいましたよ。ジーンと来ました。私にはそういう状況はなかったのですが、残念ながら。でも、気持ちがすごくよく分かって。一途な思いが伝わってきて。あー、もー、ずるいっ!


彼女が手紙はどれくらい書けるのかと聞くと、言ってみないと分からない、と彼氏。そうなんですよ。ほんと、言ってみないと分からないんですよ。仲の良いお寺さんでもいれば細かく聞くことも出来るでしょうが、22歳という年齢で、なかなかそういう人はいません。私も訳分からずに行きました。


もちろん師匠から多少は聞いていくのですが、師匠が修行をしたのはもう30年も前のこと。修行の基本は同じですが、細かなところはやっぱり少しずつ、世の中に合わせて変化していましたよ。いやでも、師匠の頃と変わってない部分の多さにびっくりはしましたが。別世界がそこにはある。


で、手紙ですが、私の修行したところでは、禁足期間という上山して(修行に入って)最初の100日間を無事に過ぎれば、ちゃんと届くようになりました。禁足の間に届いたものも、禁足期間が過ぎれば渡してもらえます。もちろん検閲も無し。
禁足があければ(終われば)手紙を出すことも出来るようになります。電話も可能です。ただし、電話はかなり難しいですけど。
そういえば、禁足あけた時に葉書を渡されて、最初の手紙は心配している両親に書けよと、古参和尚さん(先輩和尚さん)から指導されたっけなぁ。愛を感じましたね。ま、出す相手は両親ぐらいしかいなかったわけですが・・・


なんだか、自分が修行に行くとき、修行中の時のことを思い出して、少し感傷的になりました。その彼氏、今は髪をちょっと染めて今時の若者という感じですが、しゃべり方はそこそこしっかりしているし、きっと、髪を剃って上山の威儀を整える頃には、初々しい修行僧の姿になっているんでしょう。
いいなぁ。あんな頃が自分にもあったんだよなぁ。
思わず、「がんはれよっ」と願いました。しっかり修行をしてきて、彼女だけじゃなく、たくさんの人を幸せに導いて欲しいです。


ちなみに、修行中の一人称は「自分」です。体育会系、というよりは軍隊ですね。今だから楽しく思い出せますけど、・・・体のひ弱な私にはきつかったですよ。体力つけて行けば良かった。