書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

檀信徒研修会1日目

今年の檀信徒研修会は、ご本山から離れて地方研修という体裁をとります。行き先は鹿児島。目的地は大本山永平寺鹿児島出張所である紹隆寺様。それから知覧の特攻平和会館。


鹿児島は島津家の庇護を受け、寺院が多数存在していました。その数2,000ヶ寺と言われます。それが現在は数百ヶ寺しかありません。原因は、明治維新直後の廃仏毀釈運動。尊皇攘夷運動の先鋒であった薩摩藩では廃仏毀釈運動はとても激しく、藩主島津家の菩提寺であり、修行僧が2,000人いたと言われる福昌寺すらも破壊し、全国で唯一、破壊率100%を達成してしまいました。


その際、境内地はもとより、周囲の田畑も没収されたということです。没収された境内地には役所や学校が建てられたため、廃仏毀釈運動が取りやめとなった後も、元あった地に再建することがかなわず、それは現在でも同じだそうです。


そういう事情もあり、なかなか寺院の再建は進まず、県単位で見た場合に、全国的にも寺院数がとても少ない県となっているようです。寂しい限りです。


こうしたお話を紹隆寺の監守老師(住職の代理としてお寺を任された僧侶)より伺いました。その後、福昌寺の跡地に赴き、残されている島津家の墓地を見学しました。すごく広い墓地です。そこに、島津家の人間だけがまつられています。廃仏毀釈のために、戒名の掘られた墓石に、神号を掘り加えられていました。仏教に帰依し、仏となったはずの歴代藩主たちは、いつのまにか神道の神となってしまったのです。もし自分だったらと思うと、悲しくなります。


こうして研修の一日目は終わりました。重苦しい内容でしたが、明日は知覧特攻平和会館の見学ですから、さらに重苦しくなるはずです。しかしいずれも、現実にあった出来事です。しっかりと記憶に刻み込んで、僧侶して、二度と悲しい出来事が起こらないように、行動をしなくてはと思います。