お経を読みながら、目の前の線香立てに思いを巡らしていました。
大きな大きな線香立て。お寺で使うような大きな線香立てです。
「親父のために大勢線香立ててくれるから、仏具屋で一番大きいのを買ってきたんですよ」
百ヶ日法要の時のその人の言葉です。
あれからたった３ヶ月。
今夜は、その線香立ての向こう側に、その人の写真を見ながらのお勤めです。
線香立ての思い出をそれ以上思い出すと前が見えなくなりそうなので、それはそこで止めて、お経に集中を戻します。
帰り際、「おっとうの飲みかけですけど」と言いながら、缶コーヒーを渡されました。
祭壇にたくさん飾られていたお供物の缶コーヒーです。
「飲みかけじゃあ、ありがたくいただかないとね」
缶コーヒー、明日いただこうと思います。
