書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

宗務所日記。予算案通りました

今年も無事に予算案が通りました。いろいろ問題点はあるのですが、現状ではこれ以上の予算は組めないのではと考えています。自負でも、自尊でもなく、どうしようもないという感触です。

予算所会ののち、今度は教区長会。メンバーは同じですが、会議の性質が違います。予算所会は決議事項を曹洞宗宗務庁に承認してもらわなくてはなりません。承認されて初めて、予算が執行できるんです。

ですので、宗務庁の承認が必要となる事項については、予算以外にも所会の決議が必要となります。決算を除けば、他にはめったにそんな機会ないですけどね。

教区長会では檀信徒研修会の業者選定を行いました。行き先・研修先・宿泊先が大本山総持寺と決まっていますので、旅程プランの自由度はとても低いのですが、各社工夫を凝らした案を提示していただき、本日決定を見ました。多分明後日ぐらいには各旅行社さんに結果をお知らせできるのではと思います。

予算所会を終え、お寺に戻り、ひとり遅い夕食を食べながら思ったのは、節約に節約を重ねて宗務所の事務を滞りなく行うことに心血を注いでいるけれど、これでは一向に盛り上がらないな、ということ。

日本の景気と同じです。不況ムードの中、節約志向ばかりが注目されているけれど、盛り上がらない。盛り上がらないから景気も上向く気がしない。上向く気がしないんだから、景気も上がらない。

お金を使ってでも盛り上げていけば、自然と人は集まってきます。敏感なんです。景気のいい香りのするところには、ちゃんと人が集まってくるんです。お坊さんはあんまり左右されませんが、研修旅行にしても、景気の良い香りがすれば、参加者も集まると思うんです。

費用を安く抑えないといけないから、妥協しなきゃならない点ばかりになって、旅行としての魅力も薄れてしまいます。それを企画力で補おうと思ったら、生半可ではできません。もしそれだけの企画力があったら、本職を変えたほうがいいです。

大赤字でもいいから、参加費は安く維持したまま、宗務所の予算を突っ込んでお値段以上の価値をたくさん提供できれば、参加者は集まります。

檀信徒研修会の目的は、檀家さんたちに本山での生活を体験してもらうこと。それをきっかけとして、日々の生活を見つめ直してもらえるように誘導していくこと。だから、参加しなくては始まらないのです。

結果として各お寺さんの布教活動に反応が得られるようになれば、宗務所として赤字であっても全然問題ありません。むしろどんと来いのはずなのです。

今はあまりにお金がないからできませんけど。

でも、丸赤字で研修旅行を企画するなんて、個々のお寺さんで実現するのは無理な話です。お寺さんからお金を集めて運営されている宗務所であればこそ、可能な企画です。

それを実現するために、各お寺さんから、もう少しずつ金銭的な負担をお願いできれば、丸赤字の企画も可能となります。

その一方で、お寺はやっぱり儲かってるからこんな企画ができるんだね、という批判がお檀家さんから出てくることも考えられます。でも、違うんです。企業と同じです。儲けるためには、リスクを取らなくてはなりません。そして、お寺にとって儲けは、金銭ではありません。お檀家さんの気持ちがお寺に向いてくれることです。問題は、こうした説明が、各お寺さんでできるかどうか。批判をされて、何の反論もできないんじゃ、宗務所がリスクを承知で赤字企画をするメリットがありません。

安ければお檀家さんが旅行に参加してくれるわけではないと思うんです。安さで勝負したら、パック旅行には内容で絶対勝てません。お寺ならではの付加価値が必要です。でもそれは、提供できるときと出来ない時があります。付加価値が提供できるときはそれでいいとして、出来ない時には、その代わりとして、3万円の旅行で5万円分の旅行が楽しめる、というのは誘い文句として分かりやすいんじゃないでしょうか。

そんなふうにお金を使わせてもらえれば、いろいろ盛り上がると思うんですけどねぇ。