書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

いよいよ本番です。頭痛にはなりませんでした。

朝一番で会場に向けて出発しました。到着するとほとんど準備が整っていたので一服し、残りの準備に取りかかります。私の役である鐘突きは、殿鐘というんですけれど、ああそういえば、その鐘を殿鐘というからそういう役名なのですが、そのまんまのネーミングですね。鐘司という役名もありますが、この辺りでは殿鐘と言ってしまうのが一般的です。


殿鐘の仕事は、法要の初めを告げる合図、法要準備完了を告げる合図、両班入堂を告げる合図、導師準備完了の合図、そして導師の入堂に合わせて鳴らす仕事、と内容がかなり重要です。間違えると、一般の方には分からないかも知れませんが、お坊さんの間では一発で分かるほど目立つ仕事です。
準備が整ってないのに合図をしてしまうと、両班の方々はずんずんと入ってきてしまいますし、導師の準備が整っていないのに合図をしてしまうと、大変困ったことになってしまいます。

普通の法要ならば、目の届く範囲で物事が進行しているので、状況が把握しやすいのですが、三門落慶法要は三門で行います。でも殿鐘は本堂にあります。殿鐘の位置からでは様子がさっぱりうかがえないところで法要が行われるのです。


そういうときどうするかというと、カラスという人が殿鐘と会場の間に立ち、合図を送るんです。衣の袖を振って合図をするのですが、黒い衣の袖を振るので、さながらカラスのようなんですね。


そのカラス役の人と打ち合わせをしたり、細かな準備を確認する作業を脇で見ていたり。いろいろとやっておりました。


それから、各種合図を御詠歌に合わせて行うことになっていたので、御詠歌の歌詞を見ながら予習をします。今回これが一番の難点でした。「適当で良いよ〜」とみんな言うんです。でもその適当が分からない。きっちりと決まっていた方がやりやすいのですが・・・たしかに良い加減に適当に出来ると、聞いていて心地良いものになるのですが。


以前御詠歌に合わせて殿鐘を打った記憶を思い出しながら、ここで打って、ここで打って、この辺から段々早く打って、とひたすらイメージトレーニングです。
歌が分からないと始まらないので、御詠歌のCDをここ一週間車で聞きまくって頭に入れておきました。けっこう準備に費やしてるんですよ。どれだけ緊張してたか読み取ってください。もちろんイメージトレーニングもすでに何度もしてましたが、ギリギリまでトレーニングです。じゃないと緊張してどうにかなりそうなのです。そうしているうちは、緊張を忘れられるのです。


そうしていどんだ本番ですが、つつがなく行うことが出来ました。緊張していたのは私だけではないはずですから、大勢の人がホッとしたことでしょう。朝一番からお昼過ぎまでかかった法要漬けの一日。こんなのは昨年のお受戒以来です。


祝膳をいただき、自宅に戻ってきたら、急に気が抜けてヘロヘロになりました。疲れてたんですねぇ。明日は予定が何もないので、いつもの平凡な一日を楽しみたいと思います。