書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

受戒会準備

今月の22日から5日間、浜松市の西見寺様で受戒会が厳修されます。師匠は直壇長というだいぶしんどいお役に就いており、そんな関係で私も急用がなければ5日間フルに出席することになっています。知殿寮という、主に法要の進行を支える裏方さんの役です。


当月に入ってようやく尻に火がついたようになって、関係者が集まって最終段階の打ち合わせが始まりました。今までは事務局とお偉い様が中心となった打ち合わせが何回も行われていたのですが、ここに来て、私のような者も打ち合わせに参加できるようになりました。


本山では毎年行われている受戒会ですが、はっきり言ってほとんど見たことがありません。修行中はもちろんその場にいたわけですが、その時の配役は受付だったため、法要が行われている所から遠く離れた受付で(広い敷地なので、本当に遠く離れています)、日々黙々と仕事をこなしているだけだったのです。


法要の進行表を見てもいまいちピンと来ませんし、きっと本番を終えて初めてどういうものだったのかが分かるのだろうなと感じています。スケールが大きすぎて把握しきれません。


それでもちょっとずつ勉強していくしかないわけですけれども。失敗はしたくありませんし。


全体の打ち合わせが終わり一旦解散となった後、事務局もつとめる師匠は居残りです。私は運転手を兼ねているので、師匠の仕事が終わるまでひたすら待ちます。結果として一時間ほど、ただぼーっと待っておりました。


その間に、来週末に迫った法戦式の問答を暗唱したりしてましたが、いかんせん時間がありすぎます。廊下の窓から外を眺めていると、どんどんと日が暮れていきます。
早く終わらないかなぁ・・・


そう思いながら眺めていると、少し離れた林から、鳥が3羽、バサバサバサと飛び立ちました。
ふと思い出しました。修行中、鳥はどこへでも自由に飛んで行けるからいいなと、うらやましがっていたことを。外に出ることは当然ままならず、移動の自由もほとんどない状況から、早く抜け出して自分の思うことに力を尽くしたいとひたすら願っていたあの頃のこと。それを思えば、今はそれほど長くない時間がたてば家に帰ることができ、そうすれば自分を自分で使える時間がやってくるんですから、たいしたことではありません。そしたら急に気が楽になって、今度はリラックスした気持ちで窓の外を眺めるようになりしまた。


苦しかったときのことを思い出して、比較して今の幸せを感じる。それがいいことなのか、わるいことなのか、よく分かりません。きっとその時々で答えは変わってくるのだと思います。でもとにかく今日は、鳥が飛び立った拍子に、私の気持ちは楽になったんです。あの感触は、何ともいえず気持ちがいいものでした。


今度どんなときに同じ感触を感じられるのでしょうか。きっとまた、ほんのささいなことがきっかけになるんでしょう。それを楽しみに、明日からもまた、自分のそのときに出来ることを地道に果たしていきたいと思います。