書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

世は無常だと感じる中での、和らぎ

お通夜をお勤めしてきました。お盆のおときに伺ったときには大変元気にされていた奥様。急なことで、亡くなられてしまいました。


訃報を耳にしたときに、そんなはずはない、と耳を疑いました。それぐらい、急なことでした。


あんなに元気だったのに。


辛い気持ちのまま、会場へと向かい、控え室へ通していただきます。すぐにお茶とお菓子を用意してくださいました。民間の葬儀会館は、こうしたところ、充実しています。


喪主さんと対面し、今後の説明などをして程なく、司会者さんとの打ち合わせとなりました。その際に、お菓子についてお話しが。


ここの会館は、なぜか司会者さんがお菓子を用意してくださいます。よそでもそうなっているのでしょうか。たいてい司会者さんは葬儀社とは別の司会業専門の会社に所属していて、派遣されてくるという形が多いと思うのですが。


今日のお菓子は何々です、と堅苦しくも無く、それでいて必要以上にフレンドリーでもなく、話しかけてくださいました。こだわりを持って選んできてくださったことが伝わってきます。


お勤めの前にお菓子を食べると、声が出しにくくなりますので、その場でいただくのは遠慮して、法衣バッグへと移しました。すぐにバッグへしまうのははしたないようにも思えますが、これにはちょっとした事情があるのです。


実は以前にもそうしてお菓子を勧められた際に、「お寺に持っていって食べますね〜」とお話をしていたのに、お通夜が終わってからバッグにしまうのを忘れて帰ったことがあるのです。


せっかく気持ちを込めて用意をしてくださった物を、持ち帰ると約束までして忘れてしまうなんて、失礼の最たること。ですから、今回は決して忘れないようにと、すぐにバッグにしまったのでした。


でもあの事件も、もう数ヶ月前のことです。正太寺のお葬式自体が6月以降2件目ととても少ないことに加え、新居町の斎場会館での葬儀が急増していて、今日の会館での葬儀自体が久し振りでした。


それなのに鮮明にあの時の記憶が残っています。今日は失敗できませんから。


そんなやりとりをしながら、少し気持ちが和らぎました。司会者さんの心遣いが、大変ありがたかったです。


そんな場面の重要な役割を担った今日のお菓子、その名前は・・・


忘れました。


長かったので、1度聞いただけでは覚えられませんでした。でも、おいしかったです。