幸いというか、お寺には彼のお母さんしかいませんでした。代わりの住職が入ったという話は耳にしませんが、自分のお寺と兼務されている方はいるはずで、その方がいらしたら正式な作法でのご挨拶も必要になるよなと緊張していたのです。
お座敷兼仏間に通していただき(来客を迎える部屋に仏壇があるお寺さん、多いですよね)、お母さんと、いわゆる普通のご挨拶をしました。今思えば、もっと丁寧にご挨拶するべきだったと少し悔やんでいますが。
つい読経を最優先にしてしまい、最優先にするのは良いのですが、読経直後、彼の遺影を見ていたら、こみ上げるものがありまして、仏壇の方を向いたまま、すぐには振り返れなくなってしまいまして。
振り返りざまに声を絞り出してご挨拶をしたものですから、丁寧とは言えないものとなってしまいました。
来月には一周忌を迎えるというタイミング。もっと冷静でいたかった。