書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

お役僧にて

葬儀というのは地域が変わると様変わりします。
たぶん、参列者には分からないような細かな違いですが、お役僧として参加してみると違いを実感します。同じ宗派でも事情がいろいろ。


曹洞宗の葬儀をするには普通5人のお役僧さんが必要です。導師様を含めると総勢6人で行います。たいていのお寺には僧侶は住職が1人いるだけですから、周りに曹洞宗のお寺が5ヶ寺ありませんと葬儀が行えません。それはなかなか難しいことなのです。


どうにも曹洞宗のお役僧さんが揃わないときはどうするかというと、違い宗派のお寺さんにお声かけしてお役僧に来ていただきます。でも葬儀式の次第というのは宗派によって様々ですし、読むお経も違います。なかなか大変なのです。
そこでどうするかというと、お経はなるべく宗派独特の物は避け、次第もそれにあわせて少し調整をします。


そんな理由で次第が微妙に違ってくるのですが、さらに、時間の事情もあります。出棺の時間は決まっていますから、それに間に合うように式を終えなくてはなりません。お寺側からすれば出棺の時間が決まっていることなんてたいしたことではなく、それよりも葬儀をしっかりと行いたいのですが、世間の荒波にはなかなか勝てないのです。
普通、開式が11時だとすると、出棺は12時。出棺の準備に15分程度はかかりますから、45分ほどで葬儀を終えなくてはなりません。


実は、曹洞宗の葬儀は、本来の形で行うと45分では終わらないのです。でも10時45分開式なんていう中途半端なのはイヤでしょ?
出棺の時間は(湖西市の場合は)毎時0分と、決められちゃっています。炉の数の都合ですが。
仕方ないので途中を少しはしょって(言葉悪いですが)、45分の枠内に収めるのです。
そのはしょり方が、同じ市内でもまた様々なのですよ。


違った地域のお寺さんからお役僧の連絡を受けると、少し予習が必要になります。私のようにまだ若い僧侶は(湖西市新居町曹洞宗の寺院では、最年少ですから)、いろいろと細かな仕事をしなければなりません。そのタイミングや仕事の内容など、自分の地域と違わないかしっかりと確認しておかないと、大変なことになってしまいます。


お葬式なんて、どこに行っても同じだなんて思わずに、宗教によって、宗派によって、地域によって、それぞれに思いを込めて行っていますから、導師様とお役僧さん方がどんな想いで葬儀にのぞんでいるか、感じ取っていただけたらうれしいです。