書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

巨星墜つ

思いもしない知らせが飛び込んできました。癌を克服し、元気いっぱいだったはずの御老師の訃報です。

子どもとお風呂に入っている最中に、何度も携帯電話が鳴り、お寺の電話も鳴ったと妻が伝言に。お寺の電話は師匠が取ったようですので、そちらはお風呂を出てから話を聞けば済むことと思いましたが、しかし、タイミングが良すぎます。

明らかに、私が携帯に出ないから、お寺にかけました、というパターン。

十中八九、訃報です。

着信履歴の名前から、三ヶ日町方面でどなたかが、というのが想像できましたが、でも、思い当たる方はいません。みーんなお元気。どういうことだろうと思いながらとりあえずは師匠に確認しに行くと、まだ電話中でした。

電話を切るなり、急逝の知らせを伝えられました。

未だに信じられません。濃いご縁と言えばパソコン購入の相談・設置・サポートをしていた程度の私ですらそうなのですから、ご遺族のご心中はいかばかりかと…

電話を受けたのが晩方。今夜伺うことは無理だろうと諦めましたが、明日は防災訓練のためにお昼までは身動きが取れません。そして師匠はお昼から用事があり、帰宅は16時前後。

私は19時から用事があるため、師匠が帰宅するなり供だって弔問に伺うことに決めました。ご遺族の負担を考えると、師匠と別々に伺うことは避けたいのです。

葬儀の日程などは近隣寺院が集まって決定するのですが、21時頃には日時が決定されて連絡が来ました。これを元に、宗務所からお知らせを出すことになります。

Kindleを買ったが、飛行機の中で本をダウンロード出来るのか」宗務所にいらした際にそう質問されたのが、御老師と交わした最後の会話だったように思います。パソコンも、デジタルカメラも、時代の先端機器をお寺に取り入れ、お檀家さんのために活用する、そうしたことに熱心な御老師でした。

2月に住職を退き、今までの経験を生活にも活かそうとしていたのでしょう。あの時、なんとアドバイスを差し上げたのか、はっきりと覚えていません。ただ、いつもの屈託の無い笑顔でお帰りになったことははっきりと覚えています。

三回りも年の離れた若輩者の私から、一言で表現させていただけば、アクの強い和尚さんでした。最近になって、大変なご苦労をされた半生を知る機会がありましたが、それを何ら感じさせない、大変楽しい方でした。涅槃に入っても尚、後進の我々に、人生の楽しみ方を届けてくださるものと信じています。