朝の諸々の務めを終え、8時から山の上の墓地で草刈りを敢行しました。昨日届いたばかりの芝刈り機を軽トラックで運び、勇んでスイッチオン。
朝露に濡れた草が手強く、何度も刃が回転しなくなりましたが、まずまずの能率で1時間近くの草刈りを終えました。今日は10時から17時まで、年に一度、曹洞宗が僧侶に義務付けた研修会があるのです。オンライン研修なので、寺務所から参加できます。ですから直前まで草刈りなんぞをしていたわけですが。
ですから、作業終了時間を厳守して草刈りをしていたのですが、草刈り機で作業した場合、おそらく2時間ぐらいかかる範囲を、1時間で刈り終えました。しかも刈った草を集める作業がこの後に発生しないんです。なんと幸せなことでしょう。
その分、隅々までキレイにするというわけにはいきません。草刈り鎌や草刈り機を併用しなくては、仕上がりが荒っぽいです。
でも、かなり草の背丈が伸びてきていたので、荒っぽくとも一旦刈るかどうかは大きな違いです。檀家さんにも、やっと刈ってくれたかと思ってもらえることでしょう。
今後はもっと頻繁に草刈りできますよ。片付けの時間を考えなくて良いので、作業時間を読みやすいですしね。
10時からの研修は、昨年同様にzoomを使って開催です。午前中は曹洞宗の坐禅の独自性についてのお話し。私は、曹洞宗の修行に関してはあまり本で知識を得たことがありません。道元禅師が言うところを大雑把にまとめれば、文字を読む暇があるなら坐れよ、と言う感じになることを、若い頃に何かで学んだからです。
曹洞宗の修行は徹底的に、緻密に組み上げられていて、後から足すも引くも必要ありません。歴代の祖師方がお釈迦様の教えを伝えてくださり、それを道元禅師が、こう修行すれば良いんだよ、という形に整えてくださった。つまり、その通りに修行すれば道元禅師の教えを体現することができるようになっています。
その修行を生涯にわたって続けることが曹洞宗ですので、自分が修行する上ではそれで十分ということになります。しかし、道元禅師はいくつもの書物を残しています。それはなぜかといえば、自身の教えを頭の先から足の爪の先まで信じ切って修行に取り組める段階にないものに対して、多少は理屈っぽいものが必要であろうという、いわば慈悲の塊ですね。
ただ、現代の曹洞宗僧侶にとって、檀家さんに対して曹洞宗の教えを示していくにあたり、そうした理屈というものも大切になっています。自身の体験を言葉にするのは、これまた難易度の高い作業。道元禅師はその作業すらも、既に済ませてくださっているわけで、なんとも有難いことです。
そうした理屈を使うと、なるほど、曹洞宗の坐禅、引いてはその修行の独自性というのは、こんなに分かりやすく言葉にできるのか、というのが今日のハイライト。
曹洞宗は、修行と悟りは分けられるものではないと説きます。悟ったから修行は終われると普通は考えられるところですが、そうではない、と。
今日の講師さんの例えで特に秀逸だったのがこの部分で、悟りの部分を「優しい人になること」と置き換えて、それを目標として生きる姿に例えます。優しい人になるための修行として、電車に乗って席を譲ることを実践します。これは優しい行いです。常日頃からそれを心がけて実践していれば、その人は優しい人であると言えるでしょう。
つまり、優しい人になれた。じゃあ、もう席を譲るのをやめて良いかというと、さて、どうでしょうか。
目標である、優しい人であり続けるためには、席を譲る行いは、やめるわけにはいきません。修行をやめるわけにはいかないのです。悟りと修行の関係は、そういう関係ですよ、と。
修行と悟りを分けることができないというのは、曹洞宗の教えの根幹です。しかし、説明しようと思うとなかなか難しい。今日はこんなにも分かりやすい例えが得られて、それだけでもう大満足でした。道元禅師の著作については、もうちょっと読んだ方が良いなと思い知らされもしました。
読誦する機会のあるお経になっていものについては、何度も読んでいれば自然と頭に入るものですが、そうでないものもたくさんあります。来年からはいよいよそうした時間を確保しやすい人生が待っているような気もします。
私はたまたま曹洞宗のお寺に生まれ、三男坊でありながら縁あって後継者となったのですが、曹洞宗の教えは大好きなのです。他宗の教えにも触れる機会はありましたが、やはり曹洞宗の教えが大好きなのです。みんなに知ってもらいたいし、お檀家さんにはもっと深いところまで知ってもらいたい。その伝え方を一段階分かりやすくするための手段が得られた日でした。
大満足。
芝刈り機も、大満足。
今日は良い日だ。まだこれから法事があるけれど、充実した心持ちでお勤めできそうです。
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