書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

カードの利用明細に驚かされる

法人カードの利用明細がクラウド会計に同期されてきて、その金額に度肝を抜かれました。

iPad買って、寺務所の模様替え用に机上ラックとデスクワゴンを買って。いつも失念するのですが、電気代もカード払いにしたんですよ。暖かくなってきて真冬ほどの金額ではなくなりましたが、それでもまだ高額。

これに加えて弘法様のお祭りを行うにあたって消毒関係の薬品を買ったのが意外に積もり積もっていて、「これぐらいかな」という感覚を大幅に上回る金額になっていました。

今月は宗務庁から宗費の請求明細も届いていて、これは予想通りの大幅値上げ。浜松市内のお寺さんは平均すると値下げとなったようですが、湖西市は概ね上がったんじゃないかな。なんでも、市町村合併をすると査定が上がるとかいう話で。檀家数を基本に人口密度や所有不動産などなどそれぞれに決められている係数を掛け合わせてなるべく不平等感が出ないように査定がされているのですが、ただまあ、そこにはどれくらいお布施をいただいているかという収入に直接関わる部分が反映されていないんですよね。

田舎だとお布施が低めかというとそんなこともなくて、地域によっては都市部よりも多めのお布施だったりすることもあって、人口密度では測れないんですよ。この意見はお寺さんの間でも不思議と同意が得られないのですが、浜松での法事のお布施を聞くといつもびっくりさせられる、というのがありまして。

正太寺のお檀家さんの中でも、ここ2年ぐらいかな、浜松に近い額を包んでくださるお宅がちらほらありまして、こんなにいただいてしまっていいものかと思うと同時に、境内整備に毎年とんでもない金額がかかっているため、ありがたくいただいておくしかないよなと思う気持ちもあって、難しい心境に追いやられます。

正太寺に割り当てられた宗費の額は、「こんなにいただいてしまっていいものか」と思わされる金額を法事のたびにいただいたのなら、相応であろうなぁ、という額です。

概ね10年に一度の査定が2年間に渡って行われ、昨秋にまず点数が割り振られました。その点数の1点にx円をかけると宗費の基本的な金額になります。宗費としてはそれにプラスして教師資格のランクだとか、共済金だとかがあるのですが、90%は点数で決まります。

で、点数が割り振られた時点で不服申し立てもできるのですが、実際に宗費がいくらになるか決まるのは、2月に行われた曹洞宗宗議会でx円の部分を決めてから、なのです。点数からでは想像がつかないので、不服申し立てしようにも何をどう不服と思えばいいのかわからないんですよ。

他地域のお寺さんの点数が分かれば比較して「おいおい」と言えるでしょうが、この点数、基本的には自分のお寺の分しか知り得ません。教区長は教区内寺院の点数は分かります。宗務所にいれば宗務所管内寺院の点数は分かります。でも暗黙の了解として、他言しないことになっています。

安易な公開は争いを誘発しかねませんから。結局のところ、どこのお寺も余裕はないので、1円でも安くしたいんですよ。そのお金があれば雨漏りを直せるとか、そういうレベルでお金に困ってるんですから。

正太寺は今ちょうど雨漏り箇所がなくなっているので、iPadを買えちゃったんですけどね。これもタイミングの問題で、急遽修繕箇所が出てくれば、そちらが優先になるのは当然のこと。

iPadについては想定に対して十分に役割を果たしてくれていて、さらに追加で役に立ちそうになっているので、費用対効果としては文句なしとなっています。)

どの業界を見ても羽振りのいい会社というのは数少ないでしょう。お寺でもそれは同じこと、というわけです。相当条件が良くないと、次世代に安心してつないでいくなんて思考ができません。世襲で子どもが後継者と期待されても、満足に食べられないかもしれないお寺を継がせようと思いますか?そうした面でも安心して子どもに継がせようと考えられるお寺はごく少数、というわけです。だからこそ、子ども自身が発心を起こし、進んで僧侶の道へ入ってくれるまで、じっと待つしか無いのです。

カードの使用金額がつい宗費への不満となってしまいましたが、宗門としてもお金は必要。それは分かります。曹洞宗の頑張りが認知されることで、個々のお寺の評判にもプラスに働きます。曹洞宗のお寺だから檀家になったというお宅も多いはず。ただまあできれば、もうちょっとお安い宗費で頑張って欲しいなぁ、と思ってしまうんです。和尚が愚痴を言っちゃダメですか。許して。