書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

墓地が無い!

正太寺では現在、墓地が無い問題に苦慮しています。あと少しだけ残っているのですが、いずれ足りなくなります。もう少し時代が進めば、今度は余り始めるような気もするのですが、それを待っていても間に合わないようです。

新しく墓地区画を増やすには、隣接の土地を取得するか、山の頂上で空いている土地を使うかどちらかしかありません。土地の取得はお金がないので…でも、山の頂上の土地は、周囲を木に囲まれていて、すぐ隣の墓地区画は浜名湖を臨めるのに、そこは木しか見えません。

隣の墓地区画との間には、弘法様の石像と、お稲荷様の奥之院が小さいながらも建っています。少し動いていただいて、墓地区画とくっつけてしまえば少しは景観も臨めそうですが、やはりこちらも費用の問題があります。墓地として整備するのだって安くない金額がかかりますし、今までは草が生え放題でも問題無かった場所も、墓地になったら手入れが必要になります。これ以上の整備費用の負担は、お寺の経営に与える影響が大きすぎるので、そういう面でも問題です。

門前の駐車場が、少しは墓地区画に転用しても問題無いと思うのですが、お墓にだけ寄ってお寺に来てくれなくなるとご隠居さんは心配しています。でも、そもそもご高齢の方は坂道+階段30余段を登ることが既に困難になっていますから、状況としては余り変わらないと思うんですが、私もご隠居さんの意見を全力で振り切るわけにもいかず。

出来れば門前に墓地を広げて、お参りしやすいようにしたいのですが、そうすると山の上の墓地の方と差が出来すぎてしまって、なかなか難しいです。山の上の墓地の方は、やはり、今は車で行けるから大丈夫だけと、将来は心配、と聞きます。車の運転に自信の無い方は、道が狭いのですでに自分の運転では生きたくないというお話を聞くのも一度や二度ではありません。

以前にも日記に書いたかも知れませんが、門前駐車場に、代表石塔とでもいいましょうか、お檀家さんみんなのためのお墓を建てて、墓地まで上がれない方はそこをお参りすれば良い、というようなことも考えています。これもご隠居さんと以前話した際には、お寺まで上がってきてくれなくなることを心配していました。

そこで合わせ技で、出張寺務所を駐車場に構えて、私がそこに日中はなるべくいるようにすると、代表石塔まで来た方とお話ししたり出来るわけで、良いんじゃないかと思います。

まとめて整備する資金がないので、お金にゆとりが出来たらと狙っているのですが、全然ゆとりができません。出張寺務所についてはもう3年ぐらい考えているんですけれど。

代表石塔の問題は、本来のお墓へのお参りが減るために、お花が枯れ枯れになってしまうとか、草が生え放題とか、そういう点はどうしても気にされることでしょう。草については親戚に頼んでおくとか。お寺でも今まではなるべく手を出さずにお檀家さんにお任せしていましたが、今後はそういうわけにもいかなくなるでしょう。

草については、山の上の墓地区画が少し広めなので土を入れていて、そこに草が生えてしまうんですが、いっそ生えないように石でふさいでもらうとか、石だとたぶん高価なので別の材料で埋めてもらうとかして。お花は、花立てを必要としないお墓を当たり前にしてしまうのも良いですね。お花を持っていったときにはお参りの間だけ寝かせておいて、お参りが終わったら持って帰る。

これなら、今まで避けるように言われてきた香りの強いお花でもよくなります。持ち帰ってご自宅の花瓶へ入れて飾って使えます。そういう前提でお花選びをしても良いと思いますよ。

お墓自体をいきなり無くしてしまうのは動きとして極端だと思います。管理がしやすいように、常識を少しずつ変えていくように、お寺から誘導をかけたいなと思っています。