書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

得度式の打ち合わせ

先輩の息子さんが、得度をすることになりました。得度式とはお坊さんになるための儀式であって、つまりお坊さんになる、ということです。まだ11歳。お寺生まれの子弟にとっては、今は通過儀礼のようなものになっていますが、昔はこの得度を受けることがまず大変なことでした。実際に出家することになるのですから、家族ともいままでのように会うことも出来無くなります。

現在は、修行に行ってようやくそうした環境に置かれることになりますので、ずいぶん楽になったと表現されても、うまく否定は出来ません。ただ、ワンクッション入れずにいきなり世俗との断絶になりますので、精神的に不安定になってしまうリスクは高くなっていると思います。実際必ずといっていいほど逃亡者が出るわけですし…

ただ、得度式の重要性というのは変わっていません。得度式が終わると、曹洞宗に対して得度をしましたよという届けをします。禅師さんがすべては点検できませんので、書類申請になりますが、住民票の添付も必要ですし、儀式中の写真も必要です。この写真にうつっている内容も大切で、曹洞宗の決まりに反していれば、却下となってしまいます。その場合にどうするかというと、得度式をやり直すことになるんです。それぐらい、重要な儀式なんです。

よいご縁で、お釈迦様の誕生日である4月の8日に、得度式が行われます。ちょうど日曜日なのです。息子さん、小学生ですからね。私もお手伝いを頼まれましたので、その日までの間に、準備をしなくてはなりません。必要な物品などは、師匠となる先輩が全部済ませてくれますが、儀式の進行は一人では出来ません。今回は先輩以外に3人体制でバックアップです。

私は司会。先日参考資料として、先輩が実際に使った原稿をいただいてます。それを自分流にところどころ書き換えて、読む練習まではしてあります。それを今日、みんなで集まって、実際の儀式の進行を確認しながら、私もそれに併せて司会の練習をしました。

当日はお檀家さんも大勢お見えになる予定です。司会の役割は、儀式で今何をしているかを伝えること。少し長い儀式になりますので、何も分からずにその場にいるのは大変なのです。苦痛かもしれません。でも、内容が分かるだけで、興味を持ってみてもらえるようになる可能性を秘めていますから、司会の責任というのは結構重いのです。プレッシャー。

司会慣れした先輩に、今日の私の話し方を聞いて、聞きやすくて良いぞと褒めてもらえました。ありがとうございます。褒められて伸びるタイプです。叱られると反逆しかねません。

細かな点まで確認が出来ましたので、当日はかなり安心して司会を務めることが出来そうです。よし。いいぞ。

得度を受ける息子さんも、何度か練習をしてあったようで、キビキビと動いていました。見ていてうれしくなりました。良いですね、こういう光景は。