書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

福岡県にて人権現地学習会

宗務所では、4年に一度、つまり宗務所任期の間に一度、人権現地学習会を開くことになっています。曹洞宗の一般の僧侶の人権学習は、普段は座学が中心です。宗務所の職員になると年に一度は現地を訪問してフィールドワークを伴う研修会へ参加できますが、4年に一度しか変わらない宗務所、その職員は所長を含めても9人です。ちなみに宗務所によってこの人数を上下しますが、9人より多いことはあまりないです。

宗務所の経費のこともありますし、参加費を工面していただく問題もあるので、4年に一度という大変少ない機会となってしまっていますが、今回も20名を超える参加者を得ることができました。それも若手が多い!

今回は、炭鉱での朝鮮人強制徴用についてのお話を、現地人権センターの方に伺ってきました。また、墓地にもお参りさせていただき、炭鉱で働いていた朝鮮人の墓地が、明らかに同じ炭鉱で働いていた日本人のものとは違う様子も見せていただきました。

どんな風に違うかというと、日本人の墓地は石塔になっていますが、朝鮮人のものは、ボタ石と呼ばれる、採掘の過程で出てきた不用な石が、墓標の代わりに使われていました。当然、文字が刻まれることもなく、どなたのものか、わかりません。

ちなみに、湖西市においても地域の管理している墓地によっては、石を墓標替わりに使っている墓地もありますので、このまつり方自体が差別のあった証拠ではなく、同じ地域、同じ職業の日本人と比べてどうだったか、という点で判断しなくてはならないと思います。

もっとも、親族のいた日本人に対して、朝鮮人は仕事を求めて自ら炭鉱労働に従事した人であっても、こちらに来て死んでしまった場合は弔う人もいないはずで、知り合いが行った精一杯の供養である可能性もあるわけです。そこまでの調査がなされているのかどうか分かりませんが、当時からの伝聞なりをまとめると、おそらく朝鮮人に対する差別はあったのだろうということになるのでしょう。

説明をしてくださった方も、事実のみをお伝えします、というスタンスでした。デリケートな問題なのでしょう。

強制徴用に関しても、当時は日本に併合されていて、日本人として、日本人と同じ権利を与えられ、同じ義務を負っていたのであるから、元来の日本人も強制労働についていた時代、同じようにして強制労働させられたのであればそれは差別ではない、というような意見もあることは承知しています。

ですから私も、事実のみを見ることにして、学んできました。我々僧侶が人権擁護の分野でこの先力を入れるべきは、過去の差別事象について事実認定を行うことではなく、現在起こっている差別事象と、これから起こりうる差別事象に対して、どう対処していくかのほうが重要だからです。

今回は、地元の人も経験がないというような雪の中での学習会となりました。寒い中、様々な解説を丁寧にしてくださった講師さんにただただ感謝です。

すんごい雪が積もっていたんですよ。福岡県も雪が降るところではありますが、こんなに積もることはないそうです。福岡市内は積雪はほとんどなかったんですけどね。東側はすごかったです。びっくりしました。 IMG_3046 この写真は、研修前に立ち寄った、炭鉱主の家を見に行った際のスナップ。雪国です。