書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

ところ変われば

暮れどきの真っ最中ではありますが、お役僧へ行ってまいりました。本日、暮れどきは予備日につき、軒数が少なかったのです。

お役僧の依頼主は、時折正太寺のお葬式にもお役僧としてきていただくお寺さんですが、所在地は浜松市内。お役僧に呼んでいただくのは初めてなんですよねー。今までちょうど良い機会がなかったのです。

お葬式のというのは、宗派が同じであっても、地域によって様々な差異があります。同じ曹洞宗でも、結構違うんですよ。

全体的な流れは同じなのですが、表現の仕方が違うんです。マニュアル的なものはあるのですが、時代の要請に応じての時間短縮のために、地域それぞれで様々な短縮をしています。

短縮した上で、それでも正しいお葬式の儀式の姿を参列の皆さんに伝えるために、地域独自に、またお寺独自に工夫を加えています。

そんなわけで、結構違うんですよ。湖西市でも、入出と新所でももう違うんです。新居に行けばさらに違ってきます。本当に多様なんです。

地元ではない地域へお役僧へ行くと、こうした事情で、とても緊張します。次の展開が読めないんです。ある程度想定をしながら、微調整を加えていきます。それを45分間、絶えず続けなくてはなりません。

時には想定を超えた展開を迎えることもあります。今日がまさに。

曹洞宗の葬儀では、まず最初に剃髪をすることが多いです。お通夜の際にやるお寺さんも多いのかな。大体そのどちらか。剃髪が無いということは無いと思いますが。

剃髪とは、頭を剃ること。個人の髪の毛を剃り落とし、お坊さんとしての身支度を整えるわけです。もちろん、実際には剃りませんよ。カミソリを手にとって、真似事をするんです。

ところが今日は違いました。剃髪中に唱える偈文、つまりは呪文のようなものですが、漢文というだけでちゃんと意味のある文章です。この偈文をお唱えしながら、カミソリで髪を剃る真似事をするんですが、今日のお役僧です、真似事は無しで、偈文をお役僧全員でお唱えしました。

これは初体験でして、最初から驚かされました。他にも幾つか正太寺と違う点があったのですが、他のことが大した違いではなくなるほど、このポイントが大きなポイントでした。

本当に、いろいろあるんだと感じますね。

暮れどきも、やるお寺は少ないと思います。これもまた、地域ごとの差異、ですよね。こういういろんな違いをまとめるだけでも、面白い資料となりそうです。