書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

晋山式準備

明日明後日の日程で、三ヶ日町内のお寺で晋山結制が勤められます。住職が正式にお寺に入り、その見識を近隣に知らしめるための儀式です。

また、若い僧侶が修行僧のリーダー「首座」として、住職の代わりとして法戦(ほっせん。仏法についての議論の応酬)を行い、修行の階段を一段登る日でもあります。

というわけで、今日は準備に行ってきました。私はいつものように知庫寮。ご祝儀などの管理役です。今回は受付も担当します。

この機会に数日をかけて、ついに、可漏の印刷に挑戦しました。曹洞宗で使われる、お金をやりとりする際の入れ物を可漏と言います。横長の奉書紙を使って、最終的には正方形の形に折り、中にお金を入れます。

横に三つ折りになっていて、開くと筆で、お金を渡す目的、金額、自分の肩書きと名前が書かれています。

それらをパソコンからプリンターで出力するのがゴール。

普段は一つ、多くても二つ程度しか必要では無いので手書きで問題無いのですが、晋山結制の際には、随喜の御礼を渡すのに何十枚も書かなくてはなりません。今回も百枚を超える枚数です。

これを手書きしていると準備の日がプラス一日二日かかってしまいます。手書きの代わりにハンコも使われてきました。でも、百枚にはんこを押す続けるのもなかなか大変で、しかもそのハンコセット、けっこう良いお値段なんですよ。

今回は、あまり得意では無いWordとExcelを使用して、可漏を作成していきました。文字は全てテキストボックス。金額欄など変化する項目は差込印刷枠。

差し込みデータはExcelで用意します。金額は縦書きで且つ、「金壱萬圓」などという書き方するので、Excelの関数を使って数字を置き換える処理もしています。

紙はペーパー ミツヤマさんの白倫90k(共用紙)A3ノビ。見た目も厚みも奉書紙っぽいOA用紙でして、プリンターで扱うことができます。

A3ノビは、必須条件です。このサイズですと、可漏の形に折った際に、お金がはみ出ずに入れることができます。A3だとはみ出します。よくありません。

ですので、プリンターもA3ノビ対応のものが必要になります。一般的なコピー機やレーザープリンターでは対応していないと思います。インクジェットプリンターの出番です。最近は昔ほどは高くないですね。インクは高いですけれど。

これらを揃えて、ようやく自前で印刷することができました。可漏の形に折りたたむのが手間ではありましたが、他の知庫寮配役の方と一緒に黙々と作業しました。

私はWordよりも一太郎派。差込印刷も一太郎の方が柔軟性が高く、修正もしやすいのですが、しかし世間の大多数はWordを使っています。

私が無理をしてWordとExcelで作れば、お寺さんで喜ぶ方も出てくるわけです。Wordの中の自分の名前の部分と、Excelのデータを置き換えるだけで使えちゃいますから。

私自身もMacだけで仕事を完結させようと考えたら、Wordしかありません。Macに今や一太郎はありませんから(昔はあったんです)。

仕上がりの評判も上々です。実は同じ宗務所管内に先駆者がいらっしゃいまして、その方も自力で可漏に印刷をしていました。さらに実は、前期の宗務所で一緒に働いた間柄なのです。今度お会いした際にはなんとか時間を確保して、苦労話を共有したいと思います。

その方のデータを流用させていただければもっと簡単に出来たわけですが、ほんとのところ、これぐらいチャチャッと作れちゃうだろうと思ってたんですよ。

思いの外、手間を喰いました。難しいものですね。