書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

西光寺様晋山結制

いよいよお楽しみの晋山結制本番です。


今日の主役は2人。新命住職である西光寺様と、首座和尚。それぞれ、主役を張る儀式が用意されています。儀式としての難易度が高いのは首座和尚、僧侶としての難易度が高いのが新命和尚、といった具合。


首座和尚が主役の首座法戦式は、儀式として作り上げられています。一番の見せ場である法戦は、首座とその他の僧侶の問答なのですが、中身は事前に打ち合わせされており、如何に迫力を出して行うかが勝負です。でも昔は打ち合わせなしで行っていたはずで、それをあの迫力でやりあうなんて、やはり僧侶の質が今とは全然違ったんだろうなと思わざるを得ません。


本日の首座さんは、しかし見事に勤め上げました。首座を勤めるにあたって、数ヶ月前から首座を指導してきた書記和尚との問答がオーラスとなるのですが、その迫力は素晴らしいものでした。殿行の持ち場である位牌堂で聞いていたのですが、少し離れているのに、ジーンとくるほどでした。


その法戦式の前に、新命和尚様の見せ場である、晋山開堂。その儀式のメインは、須弥壇(ご本尊様がお祭りされている本堂の一番大切な場所)上に登られた新命和尚様に対して、首座を先頭に数名の僧侶が質問を投げかけます。それに対して新命和尚様が答えを述べたり、僧侶の抱いている疑問を解くカギとなる言葉を提示したりするのですが・・・


基本的には質問の中身は打ち合わせ無しです。首座は、たいてい、こういう内容でお願いねと言われますけれど、それ以外は、誰が質問に出てくるのかすらその場になるまで分かりません。


僧侶の人生の中で、一番緊張する場面だと思います。


大勢のお檀家さんが見守る中、まさに自分の力量を示す場となるのです。これを平常心で乗り越えられる僧侶は、そう多くはないでしょう。


ご本山などの修行道場であれば、質問に立つのは修行僧です。しかし、地方寺院の場合は、普段は共にお勤めをしている仲間達からいろんな質問を投げかけられるのです。たまったもんじゃありません。


自分もいずれやらなきゃならないと思うと、今から憂鬱ですよ。


しかしさすが新命和尚さま。見事に勤めきりました!


そしてその他の儀式も無事に執り行われ、最後に記念撮影をして、12時半頃でしたか。祝斉会場への移動となりました。


ほぼずっと立ちっぱなしでしたので、途中腰が痛くなったりもしましたが、大きなそそうもなく、私もお勤めを終えられました。楽しむことも少しは出来たと思います。私にしては、良い出来でした。


何より、普段は知庫寮(ちこりょう)と言って、受付と会計の役に当たることが多いので、殿行(でんなん)という、法要に直接参加できる役をいただけたことが嬉しかったです。この緊張感は知庫寮では味わえません。


明日からはまた日常が始まりました。お祝い気分はあっという間に絶たれてしまいます。ですので、せめて今夜は、お祝い気分のまま過ごそうと思います。


新命和尚様、ご家族、首座和尚、そしてそのご家族、今頃どうお過ごしでしょうか。疲れ切って寝てるのかなぁ。


西光寺のお世話人さんを始め、お檀家の皆さんにとっても、本堂・書院・庫裏の建設から始まった一大事業の締めとなる日でした。皆さん、今日一日どんなお気持ちで過ごされたのでしょうか。


お檀家さんの支えがあって初めて、お寺というのは成り立っているということが、実感して頂けたなら幸いです。


さて。今日は何度も言いましたけれど、もう一度言いたい。お祝いの言葉です。
「おめでとうございます!」