書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

檀信徒大会、当日

いよいよ当日です。今回のメインは、誓願会。お授戒を簡略化した儀式です。お授戒とはその時の通り、戒律を授かる儀式です。正式な仏教徒になるための儀式と言えます。本山で行っているようなお授戒ですと、一週間。地方で行う場合でも5日間を要するお授戒です。それを2〜3時間ほどで行おうというのがこの誓願会。


何も不思議なことではありません。僧侶になるための儀式、得度式だって、2時間ぐらいなものです。それには理由があって、得度式までの間に基本的な修行は身につけていますし、儀式の内容も理解して臨みますから、細かな解説が必要ないんです。もっとも、昨今は小学校高学年ぐらいの時にとりあえず得度式を、というお寺さんも多いですから、本当に形だけなんですけどね。私もその口でした。


ただ、得度式の場合はそれ以降、僧侶として必然的に様々な勉強を行うことになります。ですから、儀式は儀式として淡々として行うというのが当たり前のこととなりました。


お授戒の場合は、その勉強をしながらの儀式となります。ですからじっくりと時間をかけて行われます。初歩から勉強しながら、という事を考えれば、5〜7日で全てを済ますお授戒は、自動車学校の合宿免許のような形と言うことになり合理的とも言えます。


ただやはり、なかなか荷が重いですよね。そこで誓願会です。事前にある程度勉強をしておいて、儀式に臨みます。得度式と同じ考え方です。坐禅会などを通して仏教徒としての心構えや、誓願会に必要な作法を学び、実際の儀式は短時間で行うというもの。授かる戒律の説明も、事前に頭に入れておくべきでしょうね。


その誓願会を、今日は事前学習無しで行いました。本来の趣旨とは外れてしまうのですが、今日は檀信徒大会です。本当の誓願会というわけではなく、これからこういう儀式を各お寺さんで行ってもらって、皆さんも仏教徒としての自覚を新たにしましょう、ということなのです。


曹洞宗のお檀家であり、菩提寺が定まっていれば、ほぼ確実に、全員がお授戒を経験することになります。ただし、亡くなってからです。曹洞宗のお葬式のメインは、お授戒だからです。亡くなってからとはいえ、戒律を授け、仏教徒として仏様の道を歩めるようにしているのです。(お授戒の後に、葬送の儀式が行われます)


しかし、それでは授かる戒律の意味を知ることも出来ませんし、本当に戒律を守る意志があるのかどうかも確認できません。出来ることなら生きている間に戒律を授かって頂きたい。でもお授戒を勧めるには、檀家さんへの負担が大きすぎる。そこで、誓願会、と言うわけです。


誓願会、湖西市でもやってみたいです。時間も短いですし、必要な人員もそれほど多くはありません。やってやれない儀式ではありません。機会をうかがいたいと思います。