書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

お念仏に代わるもの

正太寺は曹洞宗のお寺です。しかし、お檀家さんの間でのお念仏に対する信仰心は強く、その結果、お念仏がある前提での法事の進行を行っています。


お年忌があると、前の晩に近隣の親戚が集まってお念仏をあげ、お年忌当日には施主家での法要、お墓経とすすみ、最後は位牌堂でお念仏をあげる、という流れになっています。


南無阿弥陀仏です。未来世に現れる阿弥陀如来に救っていただこうと念じてお唱えするのです。
今世において、自らの修行によって、悩み苦しみからの解放を求める曹洞宗の思想からは、ちょっとばかし外れた信仰なのです。


とはいえ、仏様への信仰に代わりはありませんから、無理にやめさせようとは思いません。どちらかといえば、一族の中でちゃんと継承されていくようにアドバイスをしたりと、肯定する立場にいます。同時に、曹洞宗の教えとは少し違うよという話もしています。とはいえ、悪い事じゃないですよ、と。


そうして根付いているお念仏ですが、地域が変われば事情も変わります。入出以外の地域から、新しく正太寺のお檀家となったお宅の場合は、お念仏をお唱え出来ないケースがほとんどです。その際には、お唱えの仕方を簡単に教えたりしています。


ただ、やはり曹洞宗のお寺としては、別のお参りの方法を教えて差し上げるべきだよなと、考えもするのです。お位牌の前で20分でも坐禅修行をしていただければ十分なご供養となると思いますので、それをすすめてみようか、とか。般若心経をお唱えしていただこうとか。


お年忌の際の位牌堂のお念仏は、5分か10分か、という程度の時間しかかかりませんから、その程度の短い坐禅というのも、良いかもしれません。お寺側としては、坐布(坐禅に使う座布団のようなもの)の用意がかなりの負担となりますので、正座坐禅かなぁ。時間が短いから、正座でも大丈夫。足の痛む方は椅子坐禅をしていただけばよし。これなら実現出来そうです。


お年忌に限ってしまえば、我々がお経を読んで、その間にお焼香をしてもらうようにすればそれらしく済むのですが、正太寺は七日七日のお参りの際にはお経を読みませんので、お檀家さん自らで出来るお参りの方法を考えなくてはなりません。坐禅なら、最初に手ほどきをすれば、出来そうです。


それか、お経本を位牌堂に常備しておいて、般若心経などを読んでもらうのも良さそうです。なかなかお経を読む機会はありませんから、お経に親しむためにも良い方法と思います。


お檀家さんにも提案をしながら、この地域の事情に合致し、うまく継続出来そうな方法を、今後も探し求めていくつもりです。