書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

来なくていい「時」というものもある

観音巡礼の旅行などにも参加してくれていて、他のお檀家さんよりも一段親しくさせていただいた方が亡くなられました。その時を迎えるにはあまりにも早すぎる出来事なのです。

お盆のお経に伺った際に、ご家族からその可能性の話は伺っていました。その時の表情から、事態の深刻さは疑いようのないものでしたが、それでも再び元気になって、また一緒に旅行へ行けるものだと信じ込んで来ました。

それでもやはり、この時は来てしまいました。なんとか平静を保って枕経をお勤めしてきました。こんな時にもお袈裟をつける時に読む搭袈裟偈は心に一本筋を通してくれます。

急いで駆けつけてお勤めする枕経は、本来ならば着の身着のまま駆けつけるシチュエーションなので、お袈裟を用意していくのはちょっと違うかもねという話を先輩から聞いたことがありました。それでも、師匠からの伝承ではお袈裟をつけてお勤めをするとなっていますから、ずっとお袈裟をつけて勤めてきました。おかげで搭袈裟偈を自然と読むことができて、その力に助けられました。

ご家族は一様に明るく振舞っていて、おそらくそうすることで心へのダメージを防衛しているんだと思います。悲しみに暮れてふさぎ込んでいたくても、やるべきことは次から次へと湧いてきます。そこには葬儀も含まれるわけで、なんとも辛い場面です。ただ、葬儀はちゃんとやった方が絶対いいです。どんなに辛い時でも、それを経由することで、必ず心のダメージは癒されます。

ご家族の方は多分大丈夫。皆さんで協力する体制が出来上がっているのが見て取れました。あとは私です。なるべく平常心で準備をしようと思っていますが、それはなかなかに高難度です。しっかりと葬儀を勤めるためには、準備はしなくてはなりません。故人のために、喪主家のために、そして自分のためにも、心を落ち着けて、準備に専念しようと思います。