書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

明日から熊本なのですが

梅花流詠讃歌全国奉詠大会へ同行するため、明日から熊本滞在です。なのですが。

お出かけ荷物の中で一番大切な酔い止めの在庫を切らしてしまいました。液体の酔い止めがお気に入りです。昨年末でめでたく退職した宗務所へ入ったばかりの頃、そうあれはもう12年も前のことになります。おそらく最初のバス使用となるこの全国大会の準備を進めていた中で、バス酔いの心配を漏らしたところ、先輩が教えてくれたのがセンパア ドリンク。栄養ドリンクのように瓶に入っている酔い止めです。

これを飲むようにしてからは、ほとんどバス酔いをしなくなりました。もしちょっと酔ったような感覚を覚えても、下車後もずっと気分が悪いというようなことは皆無となりました。

私にはもう無くてはならない薬であり、もし忘れた場合には、旅先でなんとか薬局を見つけて購入するほど必死になります。

その酔い止めが、無い。これは一大事。昼間のうちに気がついて良かった。杏林堂が22時ごろまで開いているとはいえ、明日は5時出発です。夜に買い出しに行くのは、色々と危険です。

一番近くて、そこそこの規模のある薬局へ行ってセンパア ドリンクを尋ねると、今は錠剤が随分と良くなったから、ドリンクタイプは扱わなくなりましたと言われてしまいました。

ダメなんです。どんなに錠剤が良くなったとしても、ドリンクでないとダメなのです。口の中ですぐ溶けるとか、そんなことは問題ではないのです。もうここまで頼る気持ちが大きくなると、験担ぎと同じなんです。成分も同じと言われましたが、それでもダメなのです。瓶のキャップを開け、ぐいっと流し込む。その一連の行いすらも、酔い止めの一環なのです。

薬剤師さん、車酔いしない人なのかなぁ。羨ましい。

験担ぎがどだけ重要かというと、それは酔い止めの効果によく現れています。連続使用の際に4時間は間を開けてくれと書かれていますから、単純に考えて持続時間は4時間程度であると思われます。ですけれど、私の場合は一日中効きます。朝飲めば、晩まで大丈夫なのです。これはもう酔い止めの成分の問題ではありません。気持ちの問題です。

だから、成分が同じだけではダメなのです。ドリンクを飲むという行為が伴って初めて、酔い止め効果が発揮されるのです。その儀式をちゃんと行えば、たとえ本来の効果が切れたとしても、気持ちの上での効果が発揮されるのです。

というわけで、いつもの杏林堂で買ってきました。錠剤よりも割高ですけれど、仕方ありません。車酔いになることを思えば安い買い物です。

仏教はとても合理的な考え方をします。つじつまが合うんです。その立場に立つと、験担ぎのような酔い止めへの私の気持ちは非仏教的であるように見えたかもしれませんが、その一方で、気持ちによって身体を制御するというのもまたとても仏教的な考え方です。合理的なのですよ、これも。だから私はこれからも錠剤が効かなかったとお悩みの車酔い仲間には、ドリンクタイプをお勧めし続けます。誰かが効いたと言っていた、その他人の経験すらも、車酔い効果を高めるための大きなピースです。辛い車酔いから解き放たれるためにも、こうした気持ちを大事にしていきましょう。