書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

得度式

先輩のお寺で、息子さんの得度式(出家の儀式。僧侶になる儀式。)が厳修されました。私もお手伝いで、司会を勤めてきました。緊張しましたが、お祝いの儀式に参加できて、嬉しかったです。

大抵の場合、得度式は人生に一度きりです。師匠を変えたり、宗派を変わったり、人生の中でいろんなことが起こったとしても、仏教の僧侶であり続ける限りは、得度式のやり直しというのはほぼ考えられません。国が移っても大丈夫なはずなのです。すごいことですよね。あ、でも、授かる戒律の数があまりに違う場合は追加で何かしら必要もしれませんね。あんまり事例にないでしょうから、ケースバイケースで検討されることになると思います。

そんな重要な儀式です。得度式をおえて、まだまだ体裁上の話ではありますが、先輩の息子さんは僧侶になりました。11才。世襲が当たり前になってしまった日本の仏教において、得度をするということは、お寺を継ぐということになります。それだけに、師となる親の側も、安易に得度はさせず、弟子となる子どもの意思と心構えをしっかり見定めてから、得度を受けされることになります。小学校高学年とはいえ、将来のことをそこまで考えるにはまだ幼い年齢です。どこまでの覚悟があるのか、本当のところは分かりません。でも、大勢人が集まる場での得度式でしたから、それでも得度を受けると決めた、その分だけの覚悟はあるのだと思います。すごいことです。

私はお盆の手伝いをしてお小遣いをもらいたいがために得度を受けましたからねぇ。師匠は元々、私に得度をさせる気は無かったそうです。兄が二人もいて、二人とも得度してましたから、そりゃそうですよね。私が得度をしなければ、兄たちも私にお寺を任せることもなかったでしょう。そういう意味では、あの気軽な私の得度が、兄たちの人生にも影響を与えたことになるわけです。恐ろしや。

ん?でも、上の兄がお寺を継がないと師匠に告げた時は、私はまだ得度をしていなかった頃のはず。聞かされている以上に、事態は複雑だったのかも…

ともかく、めでたい日でした。ご本人はもとより、師匠となった先輩、ご家族の皆様、お檀家の皆様、大変おめでとうございます。これから、楽しみですね。