書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

とうとう巡礼第一回の最終日

早いもので最終日です。昨夜遅くまで話をした疲れもなんのその、早々と目覚めて元気に挨拶。

一ヶ寺目は成相山成相寺。ホテルよりもさらに高所から天橋立を臨むことのできるお寺なのですが、展望台はお寺よりもさらに高いところ、駐車場から1kmも登らなくてはなりません。バスで行くこともできるのですが、今回は断念しました。

本堂までは駐車場からさほど遠くなく、西国巡礼にはやたらと歩くイメージを抱いていたのですが、そうでもないお寺も結構あるなという感触です。

成相寺にはつかずの鐘があります。製造工程での悲しい事故により、鐘をつくたびに赤ちゃんの泣き声が混じって聞こえるため、それ以来つくのをやめたと言われています。

赤ちゃんの泣き声云々よりも、その事故が作り話であってほしいとひたすらに願いました。伝承の過程で話が盛られることなんて珍しいことではありません。そうした話であってほしいです。

次は青葉山松尾寺。こちらもバスですぐ近くまで行けました。バス駐車場からは想像できないほどの立派な伽藍で驚きました。ただ、いたるところに傷みがあり、現在は本堂の解体修繕のための資金を募っていました。すでに工事の予定は立っているそうですが。

そうした予定があるせいか、多分留守番の方だと思うのですがねお寺の由来などを話した後に、引き続き巡礼の話になり、ちょっと商売っ気のある話しぶりになってしまいました。そこが残念。

おいずるを着て、それに朱印をもらって回らないと、意味がないとまで言い切られてしまい、一つでも朱印があれば巡礼の意味をなすからここで買って行きなさいというくだりで辟易としてしまいました。

ご住職が承知されていない話だといいのですが。

思えば花山院さんで掲示されていた朱印についての話も、やや一方的な話でして、これはちょっと困ってしまうなと感じていたのです。西国全体での認識だとしたら、やばいな、と。

宗派も違いますしね。我々は、西国の札所に比べれば歴史の浅い宗派ですから。中国においては、どうなんでしょう。そこまで調べたことないです。

我々は今回、納経を目的として巡礼の旅をしています。納経には二種類あり、写経を納めることと、読経を納めること。花山院さんでは写経じゃなきゃダメと書かれていて、読経のことについては一切触れられていませんでしたが。

写経を納める方がより本来の姿ではありますが、読経でも十分だと考えています。ともすれば、写経は納経帳とともに郵送して返送してもらうという手段も取れることを考えると、実際に観音様の前で読経することの方が修行としては適しているとも考えられます。

ともかく。我々はスタンプラリーに行っているわけでも、観音様にすがりに行っているわけでもありません。ただただ観音様にお会いし、読経するために巡礼しているのです。

そのあたり、すぐにバス車内で説明をさせていただきました。そういう意味ではおいずるへの御朱印も不要となります。着た方がいいのは間違い無いですけど、必須だというなら別料金であることがそもそも問題でしょう。

ちなみに、おいずるを着るというのは、死装束をまとって旅立ち、巡礼のためなら途中で行き倒れになる覚悟もしているという意思表明となります。大事ですよ。今回は参加者に勧めませんでしたが。

長くなりましたので、次へ。

40分ほど移動し、舞鶴とれとれセンター敷地内で昼食。次は2時間ほど移動して、今回の最後にお参りすることになる、菩提山穴太寺へ。

こちらへ到着するころになり、最終打ち合わせの直後に気がついた、旅行社さんへの確認事項を思い出しました。しかし、今回同行の添乗員さんは打ち合わせを繰り返してきた方とは別の方。多分分からないだろうなと思って口に出せず、結局後回しにしてしまいました。

というのは、こちら穴太寺様、入山は自由ですが、本堂へ入るには拝観料が必要となります。ついでに庭園も有料。これらについて、見積もりに含まれていたかどうかが疑問だったのです。本堂へ入れなくても、本堂前にてお勤めはできます。目的は果たせます。

本堂へ入れても、ご本尊の観音様は秘仏。他に見所があるとはいえ、旅行社さんがどこまで勘定に入れていたか、判断に迷ったのです。

見積もりに入っていなければ、追加の支出となります。今回、催行時点で大赤字ですのに、宴会の飲み物代は正太寺で負担したりと、さらに赤字を増しています。これ以上赤字が広がるのは避けたい。

そして、皆さん読経が終わったらさっさとバスに戻る癖がついてしまって、本堂前で悩んでいるうちにあっという間に人がいなくなってしまいました。

さほど興味を持たれなかったのかなと、とりあえず良しとしましたが。

今回の旅はここまで。あとはひたすらバスに身を委ねるのみです。幸い心配された渋滞もなく、スムーズに戻ってくることができました。着いてみれば予定よりも1時間早くの帰着です。

ご参加の皆さんの中には、バスを降りる際に次回の案内を早目にくださいと言ってくださる方もいて、今回は赤字でも、実施して良かったと思えました。次回が楽しみということは、誰かを誘ってくれる可能性も高いということです。

人数としては、今回ぐらいの人数がちょうど良いのかもしれませんが、旅費のことを考えるともう少し多くないと各人の負担が大きくなりすぎます。なんとか次回は宴会で大盤振る舞いしても収支がトントンになるようにしたいと思います。今回は赤字でいいんです。投資みたいなものですから。

宣伝用にビデオも写真もいっぱい撮りました。巡礼の旅のやりがいを伝えつつ、じっくりと募集をしていこうと思います。