いよいよ本葬です。久し振りにシャッターに添える手に緊張が走ります。
最初だけ。
撮り始めてしまえば緊張感など感じません。ひたすら先を読む、儀式の先を読む、動きの先を読む。先を読んでイメージして場所を確保してシャッターを切る。集中です。
一番の的は、躊躇。
法要中の本堂内は、聖域です。特に大間と呼ばれる中心部に一般の方が立ち入れるのは焼香の時のみ。裏方の僧侶であっても、決められたタイミングに決められたルートでしか歩けません。(内陣と呼ばれる須弥壇のあるエリアが一番の聖域なんですが、隠れてよく見えない場所でもあるため、法要中の僧侶にとっては大間ほどには緊張しないエリアとなっています。本山級のお寺だと、一歩踏み入れるのにも分厚い壁を感じますが。)
その聖域内を、カメラを持った記録係だけは自由に出入りできます。ただし、それは、最大限に法要の進行に気を遣い、導師並びに随喜のお寺さんに気を遣い、もちろん本尊様始め法要の対象に最大級の敬意を払った上での行いで無ければなりません。それが出来ているかどうか、動きで判断されます。
体が硬くなればあと数センチが寄れずに凡庸な写真となります。撮りたいアングルで撮るためには、導師の正面に入ることも辞さない覚悟が必要です。でも、かなり、きつい。
最近の私の背中を押すのは、普段から後輩に、踏み込みが甘いと指摘している自らの言動です。やっぱりあそこは突っ込めないんだと思われては…。
こういう場面で傍若無人とさえ思われる大胆さで写真を撮っていたのが、今日の本葬の当事者です。
御老師に言わせれば、まだまだ甘いと言われると思います。がんばりましたが、やはり、あの領域には踏み込めませんでした。阿蘇までしてようやく撮れる写真があるというのはおそらく間違いないのですが…
かなりの枚数を撮りました。受け渡しに苦労しそうな枚数です。せっかくRAWでも撮ったので、全部のデータを渡したいですし、少し方法を考えることにしましょう。