書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

お年忌の引き物に想う

私はまだ法事の施主になったことが無いので実際の所は分からないのですが、自分が施主になったとして想像してみます。


まず家族と相談して日程を仮決めし、お寺と調整をします。決定したら親族に連絡を回して、出欠を取ります。


ここで、予算が立てられるようになります。御仏前で包んでいただける金額は、それまでの経験でだいたい分かることでしょう。1人5,000円と仮定します。


全体を通して結婚式とそれほど変わらない流れになるわけで、そういう意味では私もリアルに想像力を膨らませることが出来ます。


御仏前が1人5,000円。精進落としの食事が、1人3,000円。最近は酒類を浴びるほど飲む人も少なくなってきたので、それほどたくさん出ないでしょう。3,500円、うーん4,000円で想定しておけば大丈夫かな。


残りは1,000円。ここで引き物が登場します。世間的には半返しぐらいがルールになってますか?となると2,500円。つまり、1人当たり1,500円の持ち出しとなります。加えて、お寺へのお布施も考えなくてはなりません。タクシーの手配までも発生するかも知れません。ある程度余裕を持っておかなくてはなりません。


持ち出しがあると、参列者が増えれば増えるほど、施主の負担が増えます。でも、愛しい人のお年忌です、なるべくたくさんの人に参列していただきたい。そうなると、無理してお金を工面することになります。


ここで挙げた例は、自分が計画するとして、あまり負担を増やしたくないという気持ちの前提で導いた金額です。ですので、この程度なら持ち出しがあっても何とか・・・と考えられなくもない金額となっていますが、実際にはいろんな事情でもっと金額が膨らむ可能性もあります。


私は、法事をして、黒字になっても良いと思うんです。仏さまのご供養が、しんどいことばかりで良いはずがありません。黒字を出して、黒字分にさらに自分の気持ちを足してお布施にするぐらいの心意気があっても悪くありません。お寺へのお布施は、そのまままお寺の運営に活かされます。自分たちの菩提寺の修繕になどに回っていくわけです。


引き物を半返しで用意するのでは無く、1,000円とか500円とか、まあ500円ならいっそ無くても良いかもしれませんね。7回忌では引き物を付けるけど、13回忌では付けない。17回忌では付ける、とかメリハリがあっても良いでしょう。


もっとも、引き物があまり減ると、関連業界が立ちゆかなくなって、思わぬところで自分たちの生活に影響が出るかも知れませんから、ゆとりがある時は経済活性化に貢献するのも大いに良いことだと思います。


いろいろ、ぶっきらぼうに無茶な話を書きました。おときで疲れているんです。そのあたり、少し考慮しながら頭の中で再整理をしていただければと思います。


肝心なことは、法事とはこうする物だ、という型にはまって考える必要は無く、自分たちの状況、そして親戚の気持ちなどを汲み取りながら、やれる範囲でやりやすいように変えていって良いんですよ、というお話しです。


ただ、そうするためには、今現在の型についても理解しておく必要がありますから、参列の機会があったら準備に際して実際の所どんなところが苦労のポイントだったかとか、日常会話に混ぜ込んでさりげなく調査しておくなど、努力も必要です。


今の形が、どういう理由で出来上がってきた物なのか、それが分かれば、どこをどの範囲で崩したなら、問題が発生しないだろうとか、予見が出来るようになります。そうなれば、黒字化も視野に入ってきます。


2,000円で注文しても、3,000円、5,000円クラスのお料理に見えるお店を見つけたら、そりゃあ嬉しいですよね。そういう具合に、法事の計画も、楽しみを持って行うと、やる気が出てきますよ。


あまりしょいこまずに。仏さまのご供養です。進んで取り組めるように、気持ちを盛り上げていきましょう。