書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

人権擁護推進委員会が開かれる

年に1度だけなのですが、宗務所にて人権擁護推進委員会が開かれます。人権擁護推進委員を委嘱されている18名のうち、どうしても都合の付かなかった3名を除いた15名で開かれました。


昨年からの一年間の宗務庁を中心とした動きの報告の後、宗務庁作成の人権啓発ビデオを鑑賞し、それを題材に意見交換をしました。


去年から、人権啓発ビデオが少し変わりまして、檀信徒向けの人権学習会にも利用しやすい内容と構成になっています。和尚にとっても見やすい内容となっています。


以前の物はちゃんと考えながら見たり、複数回見ないと、見落とす点があったりもしたのですが。


オムニバス形式で、複数の題材を短めに取り上げている点も、見やすさに一役買っています。かといって軽い内容ではありませんし、割とタイムリーな内容も含まれています。


ホスピスを取り上げたシーンがあるのですが、その内容が、ごく最近読売新聞の医療サイト「yomiDr.」に掲載されて話題になってるコラムが投げかけている物に通じるものがあります。


欧米にはなぜ、寝たきり老人がいないのか


人間の尊厳。それを人権として捉えて考えさせる内容になっているのです。


過去の人権啓発ビデオも現在のビデオも、一貫しているのは、「こうあるべきだ」という強いメッセージはあえて排除されている点です。とにかく、視聴者に考えさせるようになっています。人権学習会の教材ですからね。


でも、この考えるという過程がとても大事なのです。そしてまた、自分の考えを表明して議論すると言うことも。


人権は、日本においては誰もが生まれながらにして持っており、かつ保障されている権利です。アフリカの一部の国家など、人権など何も無いような国もあります。日本は幸せな国なのです。


しかし、そうして当たり前に持っている人権も、自分の権利は大切ですから何とか守ろうとしますが、他人の権利についてはなおざりにしてしまいがち。そうならないためにどうしたら良いかというと、考え、議論し、その課程を通じて、体に染みつかせていくことです。そうしなければ、身につかない、とも言えます。


いろいろ問題は抱えているものの、ここまで人権が保障されている国も珍しいと思います。そして、だからこそ、なんだかんだいって、日本は良い国だと感じるわけです。


日本の人権に対する考え方は、輸出するに値すると思います。どんどん外に出して、世界中でこれが当たり前になったら、どんなに素晴らしいことでしょう。


そうしたことまで考えるのが、人権擁護推進委員会の仕事なのでしょうか。宗務所職員も、委員を委嘱されているのですよ。でも、たいした活動はないのですよね。


宗務所の事業予算からみたら、これ以上何かしようと思っても、お金は一切かけられないという状況ではありますが、内部の研修だけでは無く、外に出していけるような組織になったら、素晴らしいですよね。