書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

アクセル全開でお仕事

お出かけから帰宅して夜が明けると、やけに忙しい週末の始まりです。通常の正太寺は、土日にそれぞれ一件ずつの法事を行うペースなのですが、今週末はなぜか二日間で五件も予定が入っています。


一件当たり短くても1時間半かかりますから、なかなかハードです。


こういう時って、ついお説教を省いてしまおうとか頭によぎるのですが、搭袈裟偈(たっけさのげ)を小声でお唱えしながらお袈裟を身につけると、そうした身勝手な考えはどこかへ遠のいてしまって、自分が僧侶であることと、僧侶の役割は、お釈迦様の教えを人びとに伝えることである、という当たり前の原点に立ち戻ることが出来、目の前に居る施主家ならびに親族の方々と共に法要に臨む心構えがバチッと決まります。


搭袈裟偈は本来、お袈裟を頭の上に乗せ、合掌して静かに唱えるのですが、その作法はあまりに目立ちすぎるため、法事の席上では実践できていません。それでも、お袈裟を掲げて小声でお唱えするだけでも、これだけの覚悟が決まるのですから、搭袈裟偈の功徳はすさまじいものがあります。


搭袈裟偈を意訳すると、「この偉大なるお袈裟は、人間のあらゆる執着心、煩悩を除く幸せの法衣である。これを肩にかけ、釈尊の教えを広め、生きとしいけるものを救済しよう。」となります。


自分が何のためにその場にいるかを、ストレートに示してくれているのです。


曹洞宗で良くお唱えする偈文は種々あれど、私はこの搭袈裟偈が一番好きです。偈文に好き嫌いがあってはなりませんが、それでも、これが一番です。これからも大切にお唱えしていきます。