書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

予算所会、終わる

ようやく宗務所の予算所会が終わりました。平成24年度予算を審議する、担当である庶務主事にとっては大変しんどい会議です。準備から当日の計数読み上げ、質問への応答。ちょっと言い間違えただけで大変な誤解を生みかねない、そんな会議です。


しかも今回提出した予算書案は、かなり問題のある予算となっています。赤字予算なのです。


沖縄県宮古島の平良市(現在は合併して宮古島市)が、赤字予算案を発表して、騒ぎになったことがありました。その時には国や県からの圧力で、歳入を多く見積もって無理矢理帳尻合わせをしたと記事にはあります。


宗務所も私が知る限り、ずっと赤字予算でしたが、繰越金を繰り入れることで収支がトントンの予算書を作成していました。私もそれに疑問を感じることは無かったのですが、よくよく考えると、予算の段階で繰越金に手を付けるということは、おかしなことです。収入が足りていないか、支出が多すぎる、ということです。


その疑問をはっきりと発言されたのは、やはり所長さん。そうした疑問を職員で共有する中で、歳出を精査した結果、どうしても赤字となってしまいました。


例年通りに繰越金を繰り入れる予算書も作成は出来ます。そもそも帳尻合わせであれば、進達に伴う収入を多く見積もったって良いのです。でもそれでは、宗務所が赤字であることが分かりづらくなってしまう。


繰越金も永久にあるわけではありません。こんな形で繰り入れていたら、早晩底をついてしまいます。その繰越金も、黒字で稼ぎ出したものではないようですし。


決算では、赤黒半々ぐらいになります。長い目で見ればトントン。でも、それでは安定した宗務所運営も、事業計画も立てられません。


なんとかしないと、無理矢理な予算書も作れなくなりますよ、という提言の意味も込めての、赤字予算案でした。


とりあえず、そうした諸々の事情を教区長さん方にはご理解いただけて、予算所会での議決は成りました。あとは、宗務庁で承認を得なければなりません。


宗務庁としては、文句を付けたくなる予算書であると思います。しかし、予算所会で議決された予算を、宗務庁といえども否定できるのかが、今後しばらくの懸案となります。


実はね、先日も日記に書いたと思いましたが、この件で宗務庁にあらかじめ確認をしておこうと思ったのです。ただ、そこで赤字予算はダメといわれたら、予算所会でも提案が出来なくなってしまいます。そもそも、宗務庁がそこまで口を出せるかも微妙なのに(表現きついですね)、伺いを立てるのもおかしな話かと思って、やめたのですよ。


正直、ちょっと怖いです。宗務庁と宗務所の関係は、かなり微妙です。名称から類推できるような、直接の下部組織では無いのです。宗務所長は選挙で選ばれます。宗務庁は辞令を交付しますが、だからといって宗務庁の下に置かれるわけではありません。事務補助金がわずかばかり支給されるだけで、運営費のほとんどを管内寺院から徴収する宗務所費でまかなっています。


下部組織であるならば、徴収なんかせずとも、すべて宗務庁からの資金で活動するはずです。自前で調達するなんて、フランチャイズのチェーン店ならともかく、宗務所は事務所ですからね、そもそもおかしいんですよ。


寺院と宗務庁の関係は、ちゃんと上下があります。寺院はそれぞれ単一の宗教法人ですが、包括宗教法人たる宗務庁と包括契約を結んでおり(その書類、まだ見たこと無いですけど)、土地や建物といった財産も、寺院が勝手に売ったり買ったり出来無い事になっています。


ま、それはともかく。そんなわけで、下部組織とも言えない宗務所に、でも正常な事務組織の維持のために関与はせざるを得ない宗務庁が、赤字予算に対してどんな対応をしてくるか、期待して待つことにします。


何か電話が来るならば、出来れば私が不在且つ所長さんが居るときにかかってくればなぁ、なんて思いながら。