書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

彼岸の中日

とくれば、おせんぼうです。観音懺法をお勤めして、観音様の功徳力でもって当番寺院の過去3年間の新亡霊位と、組寺の全檀家のご先祖様をご供養します。


だいたい1時間強。昔は2時間以上かけていたようですが、年々声明がペースアップしてきているようです。今年それを初めて実感しました。たぶん、昨年に声明の勉強をする機会をいただいたから。


もっとゆっくりとお唱えしなければ、伝わるものも伝わらない。そう感じます。でも、それがなかなか難しいのです。声明一本に絞って訓練をしないと、とてもじゃないですけど。


曹洞宗の場合は声明はそれほど日常の法要に組み込まれていませんから、余計に。


さて。今回のお勤めでは、さらに加えて、地震によって亡くなられた方のご供養も行いました。募金はそれぞれにしていただくことにして特別には行いませんでしたが。


お経を読み始めると、テレビで見た場面や、ツイッターなどネットで得た被災の状況が脳裏に浮かんできました。娘さんと一緒に津波に流され、1人助かってしまったと嘆く母親の話。わしらのような年寄りが生き残ってしまって・・・と苦悩する老夫婦の姿。


人を亡くした悲しみと、生き残ったことに対しての引け目。


想像を絶する苦しみのはずです。そしてここはまさに仏教の出番でありますが、離れた地にいる私には、かける言葉さえ見つかりません。やはり、面と向かわなければ、お釈迦様の教えを、道元禅師の教えを、伝えることは出来ません。


今できること。せめて、ご供養をさせていただきました。葬儀を行う余裕もない被災地も多いと思います。現地の僧侶たちが宗派関係なく読経供養をしていると聞きますが、彼らだけに任せておいて良いはずがありません。


遠くからでも、ご供養を。みんなでご供養を。葬儀の出来ない遺族に代わって、日本中がご供養しているというその積み重ねが、いつか遺族の心をも少しは癒してくれると信じています。