書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

宗務所日記

忙しい。ほんとにまあ、忙しい。


この夏は、責任役員の任期満了を迎えるお寺さんが多くあります。正太寺もそうです。責任役員は、通称として総代さんと呼ばれる方ですね。総代さんは昔から存在する役職名ですが、昭和後期にお寺が宗教法人格を持つに際して、責任役員として宗教法人の意志決定に参画することが明確化されました。現在の曹洞宗体制では、重要な書類の多くで、責任役員の実印による押印がなければ、書類としての正当性が何ら与えられないことになっています。


例えば、住職・副住職の任命、お寺の土地の売買、建物の新築・改築・増築等々。要するに、住職が勝手にお寺を自由にしてはいけませんよ、ということです。お寺はお檀家さんの物、という当然の姿を、明確化した制度と言えます。


で、この責任役員の任期は4年と決められています。任期満了を前に、再任や新任の責任役員を届け出なくてはなりません。同時に、責任役員の印鑑証明書も添付する必要があります(再任の場合で、実印に変更がなければ不要)。


必要な書類は、責任役員委嘱申請書、責任役員資格氏名印鑑届、干与者住所資格氏名届の3通。それぞれを2部ずつ作成し、1部を宗務庁へ進達、1部を宗務所に保管、コピーを本人控えとしてお渡しする、ということになっています。部数については宗務所によって少しずつ違います。宗務所保管分もコピーでよいと考えているところは、1部だけの作成でOKとなっていることでしょう。願わくば我が宗務所もそうなると、書記の仕事は少し楽になったのですが・・・


宗務所ではこれらの書類をお預かりすると、内容と印影をチェックし、間違いが認められなければ所長による奥書を行います。実際には所長がいちいちチェックはしませんので、所長印を預かって押すわけです。3通すべてに奥書が必要で、宗務所控え分を合わせると6通に奥書が要ります。すべての書類に通し番号を振り、受付日、進達日を書き入れます。担当印も押します。所長印がずれではいけませんので、すごく気も遣います。


これが日に何件も来るわけですから、正直嫌になりますね。作業をしている間に、お茶も出し、気を遣いながらおしゃべりもし、手数料を頂いて領収証も作成し、進達簿にも漏れなく記載。全部終わって本人控えをお渡ししてお帰り頂く瞬間、ホッとします。でもすぐに次のお寺さんが見えますし、時には重なってしまってお待たせすることもあります。お待たせしている方とも少しは会話をしなくては無視してるように思われかねませんし、気を遣うばかりです。


これが本業ならばまだ考え方に余裕も持てますが、たいした日当が出るわけでもなく、お寺に帰ったら帰ったでお寺の仕事が待っているわけで。あ、この点に関しては、私まだ副住職で良かったと心底思います。


この夏は、いつもよりも不満に感じる宗務所仕事の多いシーズン、というわけです。こうした書類がお寺の公益性を担保する大事な物であるのは理解していますが、なぜ3通すべてに奥書が必要なのかとか、宗務庁への不満もチラチラ出てしまいます。きっと必要なんでしょうね、実務面での兼ね合いもあって。


願わくば、却下される書類のないことを。チェックは厳重にしているつもりですが、却下されたら今度はひとまず謝らなければなりません。心労がさらに・・・