過去帳というのは個人情報の固まりでして、場合によっては身元調査にも悪用されかねない、扱いに慎重にならざるを得ない、そしてお寺にとってとても重要な書類です。
正太寺では現在、アナログとデジタル、両方で管理しています。アナログというのはもちろん、旧来の過去帳です。すべて筆で書いてあって、自分もいずれこれに書き入れる時が来るのかと思うと、緊張します。間違えて修正したら、それがそのままその後長きに渡って残ってしまうのですから、かっこわるいでしょう。
デジタルは、パソコンでの管理です。正太寺にパソコンが導入されたのはもう20年ほど前ですね。住職が過去帳に載っているお戒名を一件一件手入力して、デジタル化を行いました。その後、MS-DOSからWindowsへとOSも機械も進化しましたが、相変わらずその時のデータを使って、年回法要の記録を入力しています。
過去帳を閲覧する機会というのは、正太寺の場合はあまり多くありません。お年忌の受付をするときに、命日を確認して、その年で間違いが無いかを確認する程度です。お檀家さんに直接お見せすると言うこともほとんどありません。目の前で開くことはありますが、わざわざお檀家さんにも見えるようにはしません。隣のページは別のお宅だったりするわけですから。
それでも私の中では、もっとアクセスを良くしたいという思いが強いです。命日を確認するだけの些細な作業のために、寒い玄関でお檀家さんをお待たせするのが申し訳ないんですよね。パソコンを起動する時間も待ち遠しく。アナログの過去帳はてにをは順に各家が並べられているので思うように該当のページにたどり着けないし。
そこでいま、iPhoneやiPadで閲覧出来るようにと、作業を進めています。Webブラウザで見られれば良いのです。これなら起動時間は要りません。iPhoneならポケットから取り出してちょちょいといじるだけです。iPadはポケットにはちょっと入らないね。
ただ、ブラウザで見られるようにするのは、やりだしてみたらなかなか大変であることが分かりました。いま壁に当たっていまして、もうしばらく試行錯誤してうまくいかなければ、別のアプローチが必要になりそうです。頭を使う局面です。
今行っている方法で実現出来ると、スマートなんですけどね。なかなかに難しいです。でもこういう試行錯誤が、楽しいんですよね。出来上がっちゃってしまうと、なんだかつまらない、というような。こういう気持ち、共感してもらえますか?