書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

灰作務

灰の作務と書いて灰作務。香炉鉢の中の灰を、こしてきれいにするのです。正太寺で使っている灰は、線香が最後まで燃え尽きやすい、つまり灰の中に線香が残らないタイプの物ですが、それでも残ります。確かに昔の灰に比べれば残りませんが、それでも残ります。ですから昔と変わらず、こす作業が必要です。


昔と変わったのは、平らにならさなくても良くなったことです。正確には、ならせないのです。燃え尽きるように、空気を含むように作られている灰のため(どうやって実現しているのか分かりませんが。たぶん粒が大きいんでしょう)、上から押しつけても平らにならずに、跳ね返ってくるんです。普通は平らなへらで上から押して中の空気を抜き、きれいに真っ平らにするのですが、それは物理的に不可能。ですから、トントンとして、ある程度平らになるように整えるしかありません。


実は私、昔からこの平らにならすのが苦手でした。どうしてもきれいに出来ないんですよ。そして、灰をこすよりも、平らにする方が時間がかかるのです。それをしなくて良いというのは、とても楽です。それでも、灰まみれになることに変わりはありませんが。


お昼に近づくにつれ風が出てきますから、なるべく早くと思い、8時半から始めたのですが、半分ぐらいの香炉鉢をきれいにしたところで時折強い風が吹くようになってしまいました。こしたばかり灰が、風に吹かれて舞っていくんです。5分の1ぐらい、風で飛ばされてるんじゃないかという風でした。


一度吹き始めた風がそう簡単に止むはずもなく、でも明日も風が強い日になる予報が出ていましたから、今日終わらせようという強い決意の元、風に煽られた灰に巻かれつつも、最後まで作業をしました。特大が1つ、大が2つ、小が7つ、特小が1つ。特小と言っても、一般のお宅のお仏壇に入っているのが特小の大きさです。特大と比べたら特小となってしまうだけで、やたら小さいわけではありません。そしてこの数も、全部ではないのです。お盆にきれいにしてますから、それ以降に使っていない物は、そのままにしておきました。実際にはまだ5、6個は増えます。


それでも、正太寺は大きなお寺ではないからこの程度で済みます。大きなお寺では、もっとたくさんあるんでしょう。大変さを想像すると、ご苦労様ですと呟いてしまいます。


さあこれで、掃除に関してはほぼ整いました。明日は荘厳。本堂をお正月用に飾り付けるのです。松も取りましょうか。梅はなんだかんだでお寺に植えてある分で足りてしまいました。笹は31日。今年は掃除を早めに始めたおかげで、進捗状況は大変順調です。もう一息、年越しまで、もう一息です。