書き続ける!住職の平常心日記

静岡県にある曹洞宗のお寺、正太寺の住職が物欲との戦いを公開します。

仏前結婚式

隣寺岩松寺様におきまして、一般の方の仏前結婚式が執り行われました。私もお手伝いとして、法要に参加してきました。


たいていの方は神式か教会式で挙式されると思いますので、仏前結婚式というのは珍しい選択です。現状では、ほぼ、僧侶専用の様式とっています。しかし、実際にはそんなことはありませんで、お申し出いただければ、喜んでお手伝いをさせていただきます。


もっとも、お檀家さんの目に触れる場所になんら掲示物もありませんから、何とかしなくてはと思っていますが。


仏式の結婚式は、お釈迦様と、そのお寺の御本尊様(お釈迦様であることも多い)、大本山永平寺御開山道元禅師様、大本山總持寺御開山瑩山禅師様、そして両家のご先祖様、親族並びに参列の方々に報告をするという形を取ります。


式師(教会式で言えば牧師さんに当たる立場)は開式して直ちに線香を立て三拝をし、今から新郎新婦両名の結婚式を行う旨を御本尊様に報告します。


両名に洒水灌頂をして心身を清浄にし、寿珠(数珠のこと)を授与します。指輪を交換し、三帰礼文(仏に帰依する言葉)を全員でお唱えし、両名が誓約文を読み上げます。


この誓約文に直ちに捺印をします。両名と、式師の捺印がされます。それを参列の一同に披露して、両名の誓いの強さと、それを式師が保証したことを知らしめます。


神式と同じように盃事(三三九度)を行い、親族固めの盃へと進んでいきます。これにて結婚が相成りました。


式師から、これからの結婚生活に向けて励ましの言葉が送られた後、お釈迦様方への報告のためのお経をお勤めします。


最後に再び三拝し、閉式となります。


所要時間も30分ほどで、他の形式と比べても、差はありません。ただ、結婚式場が仏式を取り扱っているという事例は聞いたことがありませんし、それようの会場があるわけでもありません。お寺を会場にするため(神式だって教会式だって、式場内の設備で行うのは本来ではないはずですが)、お寺への交通手段が確保しづらかったり、そこから披露宴会場までのバスの手配が必要だったり、そのために余分に時間を確保しなくてはならなかったり、重装備の新婦さんにはなかなか厳しい行程だったりと、デメリットは多々あります。


しかし、幼少より馴染んだ菩提寺で結婚式を行うというのは、そしてご先祖様に報告をしながら挙式出来るというのは、本人にとっても、家族にとっても、感慨深いものになると思います。


この日記を読んだことを機会に、仏式の結婚式、考えてみませんか?すでにもう結婚されてしまっている方は、友人知人にご紹介してみたり、銀婚式金婚式など、結婚生活の節目に合わせて、再度挙式してみるというのも良いと思います。呼び方はそのまま、銀婚式、金婚式で良いと思いますよ。


本当に、真剣に、考えてみませんか?
我々はいつでも、備えていますから。